Analog Devices(ADI)は2月27日、ソフトウェア無線(SDR)アプリケーション向けトランシーバFMCモジュール「AD-FMCOMMS4-EBZ/AD-FMCOMMS3-EBZ」を発表した。

AD-FMCOMMS3-EBZは、同社が2013年10日に発表した「AD-FMCOMMS2-EBZ」の製品ポートフォリオに位置づけられるもので70MHz~6GHzのワイドバンドチューニングアプリケションに向けた2×2 SDRの高速プロトタイピングを手軽に実現することが可能となる。

一方のAD-FMCOMMS4-EBZは、同社が新たに開発した1送信・1受信(1×1)の統合RFトランシーバチップ「AD9364」を搭載した高速プロトタイピングFMCモジュール。AD9364は、10mm×10mmの144ボールCSPBGAパッケージサイズながら、70MHz~6GHzまでカバーするシンセサイザや200kHz~56MHzまでのベースバンド帯域幅をカバーするほか、アナログフィルタやミキサ、12ビットのデータコンバータ(ADC/DAC)などを1チップに集積している。また、プログラマブルフィルタにより、カスタマ独自のIC設定をベースにしたIPの生成が可能という特徴もある。

適用アプリケーションについて同社では、レーダーや戦場用小型携帯無線機器、電子戦機器などの防衛・軍事向け電子機器やRF試験用機器/設備、通信/テレメトリ機器、フェムトセルやピコセルなどの基地局やデータカード、ドングルといった通信用インフラなどが想定されるとしている。

1送信・1受信(1×1)の統合RFトランシーバチップ「AD9364」の概要

なお、AD9364、AD-FMCOMMS4-EBZともにすでに量産出荷対応となっており、AD9364の単価は1000個受注時で130ドル、AD-FMCOMMS4-EBZは1つ399ドル(いずれも米国における販売価格)となっている。また、2×2 SDR対応のAD-FMCOMMS3-EBZも量産出荷を開始しており、価格は750ドル(同)となっている。

上段が「AD-FMCOMMS4-EBZ」。下段が「AD-FMCOMMS4-EBZ」をXilinxの評価ボードに挿した状態