日立製作所と、日立建機の子会社ウェンコは1月15日、日立の高信頼なクラウド技術を新たに導入した、同社の鉱山運行管理システム「Fleet Management System(フリートマネジメントシステム:以下、FMS)」を、カナダの大手資源会社であるTeck Resources(以下、テック)の鉱山開発現場に適用し、ダンプトラックやショベルなどの鉱山機械の運行管理の効率化および高度化を実現するための概念実証プロジェクトを開始すると発表した。

具体的には、テックが手がける、数km四方にもおよぶ広大な鉱山の現場の1つに、今回開発したクラウドサービス型のFMSを適用し、1月20日から約40日間、PoC(Proof of Concept)プロジェクトを共同で推進するもの。

PoCプロジェクトの概要図

今回のプロジェクトでは、日立が北米に持つデータセンターにウェンコのFMSのシステム基盤を構築し、クラウドサービス(SaaS:Software as a Service)の形態でインターネットを介して、カナダ・ブリティッシュコロンビア州にあるテックの施設にFMSを提供、システムの性能を検証するもの。

FMSは、鉱山の現場のダンプトラックやショベルなどの鉱山機械に搭載し、車載コンピューター上にオペレーターへの運行指示を表示することで、ダンプトラックやショベルの効率的な運用を実現する。

通常、FMSは、鉱山の現場ごとに構築、運用されているが、今回、クラウドサービス型のFMSにより、遠隔地の一施設から複数の鉱山を管理し、運行指示を出すことが可能であることを実証することで、FMSの導入・運用コストの低減が見込めることから、従来は導入が難しかった小規模な鉱山などの現場への導入拡大が期待できる。

日立は、マイニング関連分野を社会イノベーション事業における注力分野の一つと位置づけており、今後さらなるグローバル展開を加速する。また、スマート情報分野における製品・サービス群をIntelligent Operations(インテリジェント オペレーションズ)として体系化し、今回の検証結果を分析・活用してマイニング業界に向けた新たなソリューション「Intelligent Operations for Mining」の開発を推進していく。