さくらインターネットは4月24日、東京ビッグサイト 東ホールで開催されているイベント「第33回 Japan IT Week 春」において、デジタル人材育成のため「さくらのクラウド検定」を開始すると発表した。今夏をめどに初回の試験が開催される予定。具体的な合格基準は未定だが、およそ7~8割程度の正答率に設定される予定とのことだ。

検定の概要

同社は検定の提供開始にあたり、デジタル人材育成プラットフォームを手掛けるzero to oneとアライアンスを提携。オンライン動画形式の学習コンテンツは両社で共同開発する。また、学習および検定のプラットフォームもzero to oneのものを使用する。

検定の学習範囲は3章で構成される。1章は「デジタル技術の基礎」で、ITインフラストラクチャとデジタルサービスの根底にある基本的な概念や技術について学ぶ。2章は「さくらインターネットのサービス」。同社が提供するインフラストラクチャとアプリケーションに関する内容を学ぶ。

  • 1章および2章のシラバス

    1章および2章のシラバス

3章は「さくらのクラウドでのアーキテクチャ設計」だ。同社サービスのシステム構成の設計を深堀りする。コンピューティングリソース、ストレージ、ネットワーク、データベースの設計、セキュリティ、可用性、拡張性、コストパフォーマンスの最適化など、より実践的な内容となる。

  • 3章のシラバス
  • 3章のシラバス

    3章のシラバス

教材は動画によるオンライン形式。動画で使用する資料はダウンロード可能だという。なお、全ての教育コンテンツは無償で利用可能だ。4月末から提供を開始する予定。

検定は今夏に初回を実施する予定で、その後はおよそ3カ月ごとに継続的に実施される。自身のPCを利用してブラウザから受験可能なため、自宅や職場、カフェなど任意の場所から参加できる。試験は60分間で約100問が出題されるという。今後、専用WebサイトやSNSなどで例題が公開されるとのことだ。

3問の例題に挑戦

説明会では参加者にサンプル問題が出題された。以下に3問紹介するので、ぜひ挑戦してほしい。

第1問

問題:
クラウドコンピューティングの説明として、最も適切なものは何ですか。

選択肢:
・データのローカル保存
・オンラインゲームプラットフォーム
・インターネット経由で利用可能なコンピューティングリソース
・オンラインプログラミングスクール

第1問

問題:
データセンターの主な役割は何ですか。

選択肢:
・サーバやネットワーク機器の販売
・インターネットサービスの提供
・オフィスのセキュリティ管理
・ソフトウェア開発

第3問

問題:
さくらのクラウドのサーバにパケットフィルタを設定する目的は何ですか。

選択肢:
・高速データ転送を確保すること
・通信コストを削減すること
・インターフェースのデザインを改善すること
・ネットワークトラフィックを適切に制御すること

このように、ITシステムの基礎的な知識はもちろんのこと、同社サービスの設計に関する知識も求められる。

なお、さくらのクラウド検定の教材として提供される学習コンテンツは、クリエイティブ・コモンズライセンスの範囲内で無償提供される。二次配布なども可能だ。同社はこれにより、クラウド化に取り組む企業でのリスキリングや、ITに関する学びを深めたい学校の教員などの教育体制を支援する。

さくらインターネットのテクニカルソリューション本部で本部長を務める松田貴志氏は「私はIT系の資格取得が好きで、20代から30代にかけて非常に多くの資格を受験した。そんな私をはじめ、ITやクラウドの仕組みを世の中に広げていきたい、教育を充実させたいというモチベーションの高い仲間が集まって企画した検定なのでぜひ注目してもらえれば」と参加者に訴えた。

  • さくらインターネット テクニカルソリューション本部 本部長 松田貴志氏

    さくらインターネット テクニカルソリューション本部 本部長 松田貴志氏