ソーシャルメディアを使うかどうかではなく、いかに使うか。2013年、ソーシャルメディアはマーケティングにおいて不可欠なチャネルであることが確立した1年となりました。今年2014年は、ソーシャルメディアを統合したマーケティング戦略が「成熟」フェーズを目指す、挑戦の1年になるのではないでしょうか?

あけましておめでとうございます!SMMLabの藤田です。

公式アカウントやFacebookページを開設しただけでプレスリリースが出せた頃とは違い、単にソーシャルメディアを使うだけでは話題になることが難しくなった2013年。「話題作り」だけではなく、生活者との関係構築にソーシャルメディアを活用する企業が増え、マーケティング・コミュニケーションが大きく変化した1年だったのではないでしょうか。

ソーシャルメディアは+αではなく、マーケティング戦略に不可欠なチャネルとなり、2014年はいよいよソーシャルメディアを統合したマーケティング戦略を実践していく年となります。全てのマーケティング・チャネルとソーシャルメディアの連携を見直し再構築して、一元化した顧客体験の提供を考えるために、今年意識しておきたいコミュニケーションのポイントを考えてみます。

1. 常時接触を前提としたオムニチャネルによるコミュニケーション

ウェアラブルデバイスが本格的に登場する2014年は、モバイルデバイスによる常時接続が更に加速すると考えられます。Facebookの日本におけるデイリーモバイルアクセス比率は92%※と言われ、この流れは他のソーシャルメディアでも同様であり、モバイルデバイスへの対応は急務でしょう。

※Facebookの現状を示す18のデータ【ad:tech東京2013レポート:番外編】
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こうしたアクセス環境の中でネットとリアルをシームレスに行き来する生活者によって、「O2O」※はオンラインからオフラインだけでなく、オフラインからオンライン、更に共有・伝播に繋げる「O2O2O」のスパイラル、そしてオンエアーといった他メディアとの連携にも広がってきています。

「O2O」とは?絶対知っておきたい注目のマーケティング用語!
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また、アメリカでは2013年、デジタルとフィジカル(現実生活)の顧客行動の融合が進んだ状態を指すフィジタル(Phygital=Physical+Digital)という造語が登場しましたが、モバイルデバイスがウェアラブルへ進化するなど、身体性が拡張すると、フィジタルな体験の価値は今後重要になると考えられます。オフラインでの顧客体験をオンラインで再現する、オンラインの利便性をオフラインに拡張するなど、O2Oに限らずネットとリアルのシームレス化を意識する必要があるでしょう。

ECの領域では「オムニチャネル・リテイリング(Omni Channel Retailing) 」※へ取り組む企業が増えていますが、認知から、検討、購買に至るプロセスに関わる全てのチャネルを連携させてアプローチする「オムニチャネル」という考え方は、マーケティング全般で大切になってきています。

※買い物体験が大きく変わる?!「オムニチャネル・リテイリング(Omni Channel Retailing) 」による小売革命
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「オールウェイズ・オン(常にオン)」※とはFacebookが、2012年にFacebookページの基本戦略コンセプトとして紹介したキーワードですが、生活者がネットに常時接続するのが当たり前になった今、企業のコミュニケーションはFacebookに限らず、「オールウェイズ・オン(常にオン)」=常時接触を前提に考えなくてはいけないのです。

【fMC Tokyo 2012レポート】Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(2)
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2. データドリブンなマーケティングによる一人ひとりに最適化したコミュニケーション

「ビッグデータ」※は2013年、マーケティング業界で最も注目されたキーワードの一つです。しかし2013年は、「ビッグデータ」とは何か?どう扱うのかという話題にとどまっていました。2014年はいよいよ「ビッグデータ」をどう活用するかを考える年になるでしょう。

※「ビッグデータ」とは?今知っておきたい旬キーワード!
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生活者がリアルとデジタルを自由に往来するようになり、企業はモバイルデバイスを通じて、大量の行動データを容易に入手出来るようになりました。また、ソーシャルメディア上のプロフィールやアクションなどによるオーディエンス情報や、企業が持っている顧客情報を紐付けることで、社会的属性に加えて、行動履歴や消費動向、更には態度変容や心理状態まで、顧客をより深く知ることが出来るようになりました。

「ビッグデータ」を分析することによって、今までマーケターの「経験」や「感性」といった定性的にならざるをえなかった部分も、定量的な「事実」に基づいて考察することが可能になり、語りかけるべき一人のお客様を特定し、その人に最適なコミュニケーションを設計するというOne to Oneのコミュニケーション・デザインが可能になります。2014年は、こうしたデータドリブン(データによってアクションを決定していく)なマーケティングが進化していくことでしょう。

【ad:tech東京2013レポート(2)】ソーシャルメディアとモバイルによる体験価値上昇時代のブランド戦略とは?
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複数の顧客接点をつなげて分析し、その時々で顧客が何を求めているかを把握して、最も効果的な情報を送る「リアルタイム・マーケティング」※も、「ビッグデータ」の活用法としてチェックしておきたい手法です。

【ソーシャルメディア、モバイル時代だからこそ効果的!】リアルタイム・マーケティングとは?時事ネタ・イベントに合わせた4つの事例
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今年は膨大なデータをどう整理するかで立ち止まるのではなく、自社が目指すマーケティング・コミュニケーションを設計する中で、どんなデータが必要か、どんなデータが使えそうかを考える。そんなマーケター視点での新しいデータ活用が増えるのではないでしょうか。

3. よりリッチなコンテンツによる体験価値が高いコミュニケーション

「ビッグデータ」によってユーザーの心理や状態を知ったとしても、モバイルデバイスによって能動的になった生活者に、メッセージをしっかり伝えていくには、よりスピーディーで、よりインパクトのあるコンテンツが重要になります。したがってテキストより画像、画像より動画という流れはまだまだ加速すると考えられ、YouTubeを始め、VineやInstagramといった動画サービスの役割はさらに大きくなることでしょう。

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また、ソーシャルメディアとの連携で新たな可能性が広がりつつあるテレビも、動画メディアとして再度注目する必要があるでしょう。Twitterはテレビとの関係性をより強化する戦略に出ており、TVコンテンツをソーシャルメディアで活用する新たな可能性が期待されます。

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さらにAR(Augmented Reality:拡張現実)や3DPM(3D Projection Mapping)など、よりインタラクティブな技術への注目も高まるのではないでしょうか?

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こうしたリッチなコンテンツは視覚だけでなく五感を刺激し、ユーザーはブランドの世界観やメッセージを「体感」することで、強く深い「体験」を記憶してもらうことが出来ます。ユーザーにどんな体験を記憶してもらいたいのか、その体験にどのくらい共感してもらえるか、そしてその体験をいかに可視化してもらえるかを考えることが必要でしょう。

以上、2014年に意識しておきたいコミュニケーションのポイントを3つご紹介しましたが、モバイルデバイスとソーシャルメディアを基本に、データを活用した全方位での取り組みを設計するという点では2013年の延長線上です。2014年はさらに、コミュニケーションが可視化された複数のソーシャルメディアを、自社が持つメディアで一元化する「ソーシャルハブ」というオウンドメディアの在り方もぜひ検討してみてください。

「オウンドメディアのソーシャル化」のために考えておくべき3つのこと
http://smmlab.aainc.co.jp/?p=18695

いかがでしたでしょうか?2014年のマーケティング戦略を考える上で、少しでもご参考になるヒントとなれば幸いです。今回の記事に登場したキーワードについては継続的に注目し、追加情報をご紹介したいと思っていますので、今年も引き続きSMMLabをどうぞよろしくお願いいたします。

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