(提供:新エネルギー・産業技術総合開発機構)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や産業技術総合研究所などは、超微細インクジェット技術によって世界最小の線幅となる3マイクロメートル(1マイクロは10億分の1)の銅配線をIC基板上に作ることに成功したと発表した。スマートフォンやICタグなどの超小型プリント基板の製作や、複数のICチップを積層する高精細な3次元実装への応用などを目指すという。

高機能化が進むスマートフォンなどのLSI(大規模集積回路)では、ICチップの小型化と端子数の増加に伴い、配線パターン描画のさらなる微細化が求められているが、従来のパターン作製工程で使われる「フォトリソグラフィー装置」は限界を迎えている。そのため産総研は、マイクロメートルオーダーの配線パターンの作製が可能な、独自の液滴吐出方式による超微細インクジェット技術を開発した。

今回研究チームは、ナノ粒子製造技術によって、ジェットノズルから吐出した液滴(インク)が基板に十分密着する「銅ナノ粒子インク」を開発した。その銅ナノ粒子インクの吐出条件などを最適化して、線幅3マイクロメートル、ピッチ6マイクロメートルのラインをエポキシ基板上に直接描くことに成功した。また、これまでの極低酸素還元技術を進化させ、酸素濃度を低減させた中で銅を低温処理することで酸化膜の発生を抑制し、銅の配線抵抗率を4マイクロオーム・センチメートルにまで下げることができたという。

開発成果は、NEDOプロジェクト「ナノ粒子と極低酸素技術による超微細銅配線樹脂基板のインクジェット形成技術の研究」(事業総額1.3億円)によるもので、10月31日-11月1日に産総研つくばセンターで開催される「産総研オープンラボ」、来年1月29-31日に東京ビッグサイトで開催の「nanotech 2014 」NEDOブースで一般公開する。

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