古河電気工業(古河電工)は10月3日、リチウムイオン電池の充放電サイクル経過に伴う黒鉛およびシリコン系電極の厚み変化を定量的にその場で測定する手法を確立したことを発表した。同手法を適用することで、充放電中の電極厚み変化や集電体の変形を的確に把握することが可能になるという。

リチウムイオン電池は、集電体銅箔の薄肉化により、堆積あたりの高エネルギー密度化を図ることが可能となることが知られているが、銅箔の薄肉化に際しては、充放電中の活物質の膨張収縮による応力に耐え得る機械的特性が重要となるため、電極の膨張収縮を充放電中に定量的に測定する電極厚み測定技術が求められていた。

今回同社では、活物質を含む電極の膨張収縮を高さ情報として充放電中に測定することで、複数サイクルを通じた充放電に伴う負極電極厚み測定技術を確立。実際に、体積変化の大きいシリコン系電極(従来箔使用)において、充放電サイクル数の早い段階で電極の膨張と銅箔変形による異常な厚み変化をその場測定し、解体後の電極観察で測定結果に矛盾しない電極状態を確認したとのことで、これにより電極厚み変化や集電体の変形と銅箔強度の関係を定量的に把握することが可能になるとしている。

なお、同成果の詳細は、2013年10月7日~9日に大阪国際会議場にて開催される「第54回電池討論会」にて発表される予定でとのことで、今後、現行世代から次世代活物質用までのさまざまな活物質に対して最適な集電体を提供することを目指し、リチウムイオン電池用集電体(銅箔)の評価技術の充実を進めていくとしている。