富士通セミコンダクター(FSL)は6月6日、ARM Cortex-M4を搭載した32ビットマイコン「FM4ファミリ」の第1弾として、「MB9B560R/460R/360R/160Rシリーズ」計84製品を2013年7月末よりサンプル出荷を開始すると発表した。

同シリーズは、Cortex-M4標準搭載のDSPおよびFPUにより、高度で複雑な演算処理が可能だ。また、内蔵フラッシュメモリのバス幅の拡張と動作アルゴリズムの見直しにより、高速化と低消費電力化の両立に成功しており、Cortex-M3搭載の「FM3ファミリ」のハイパフォーマンスグループ比で4倍以上の処理性能を実現しつつ、動作周波数あたりの消費電力を半減することに成功したという。

さらに、カレンダ回路と32kHz発信回路に独立した電源を供給することで、RTC(Real Time Clock)動作時の電流を約1.5μAまで抑えることが可能となっており、これにより、電源制御マイコンとしても使用することが可能となったほか、アナログ回路の全面的な見直しを図った結果、内蔵発振器の精度はトリミング機能により全温度±2%まで抑え、D/Aコンバータは12ビット分解能での変換が可能に、A/Dコンバータは従来比で2倍の変換速度を達成したという。

加えて、SPI通信で最大20MHzまでのデータ転送が可能になったほか、データ長の可変機能も従来の最大9ビットから最大16ビットまで増やした。CPUを介さずにデータを高速に転送できるディスクリプタ方式を採用したDSTC回路も追加したことから、あらかじめメモリ上に構築されたディスクリプタの指示内容に従って、メモリや周辺デバイスに直接アクセスし、データ転送を行い、ソフトウェア(ROM容量)の縮小やシステム動作時の消費電力の低減を図ることも可能となっている。

なおサンプル価格は「MB9BF568RPMC」で1000個受注時800円となっており、量産時には84製品合計で月産100万個規模を予定しているという。

MB9B560Rシリーズのパッケージ外観