ラピスセミコンダクタは1月31日、セキュリティトークンなどコイン電池や乾電池で長時間動作が必要な機器向けに、従来品に比べて消費電流を1/2に低減した超低消費電力マイコン「ML610Q474」ファミリを開発したと発表した。

普及が進むネットバンキングに必要なワンタイムパスワード生成のために用いられるセキュリティトークンや、時計といった電池駆動のアプリケーションでは、ボタン電池1個で数年の長時間安定動作が求められている。このようなニーズに対応するために、同社では低消費電流化にこだわり、業界最小クラスの0.5μAを実現したマイコン「ML610400」シリーズを提供してきた。しかし、近年これらのアプリケーションでは一層の機能増加が進み、消費電力が増大することによってバッテリ寿命が短くなるという課題が生じており、さらなる低消費電力を実現した商品が求められるようになってきた。しかし、内部の消費電流を抑えるとノイズの影響を受けやすくなり、その結果、誤作動を引き起こす可能性が高くなるという課題があり、低消費電力化の妨げとなっていた。

今回、内部のレギュレータと発振回路を新たに開発、独自の低リーク電流プロセスを採用することで、従来品に比べて1/2の低消費電力を実現した。さらに、内部の回路やレイアウトの工夫により高いノイズ耐性を確保し、ノイズ耐性のテストであるIEC61000-4-2において±30KVをクリアしたほか、低消費電流と高ノイズ耐性を両立させることで、機器の安定した長時間動作も可能にした。低消費電流の実現により、小容量の安価なコイン電池が使用できるようになるため、システムのコストダウンや小型化にも寄与するほか、セキュリティトークンに必要な機能を1チップ化している点も特徴となっている。

この他、独自の高性能8ビットRISCコアを搭載する。Haltモード時消費電力は0.25μA。1KB RAMを内蔵している。「ML610Q474/475/476」は16KBフラッシュを内蔵、フラッシュの代わりに16KB ROMを内蔵した「ML610474/475/476」も用意している。

なお、「ML610Q474」ファミリは、ダイもしくは80ピンTQFPパッケージで供給される。価格は200円。現在サンプル出荷中で、量産開始は3月を予定している。さらに、「ML61Q474」ファミリ」では、簡単に評価を開始できるリファレンスボード「ML610Q474」とソフトウェア開発環境も合わせて用意しており、ホームページからユーザ登録を行うことで様々なマニュアルやツールが利用できるという。

ラピスセミコンダクタの超低消費電力マイコン「ML610Q474」ファミリ