IDC Japanは10月24日、国内クラウドアプリケーションプラットフォームソフトウェア市場動向を発表した。これによると、2011年の国内クラウドアプリケーションプラットフォーム市場規模は168億9,400万円、前年と比較して26.9%の成長。

国内クラウドアプリケーションプラットフォームソフトウェア市場 売上額予測(2011年から2016年) 資料:IDC Japan

この調査は、同社の国内ソフトウェア市場定義に従い「PaaS(Platform as a Service)」と「IaaS(Infrastructure as a Service)向けアプリケーションプラットフォームソフトウェア」の2つのセグメントで構成されるクラウドアプリケーションプラットフォーム市場動向を調査/分析したもの。

2011年の内訳を見ると、それぞれ49億5,500万円(前年比成長率21.2%)、119億3,900万円(同29.5%)だった。また2011年から2016年の両市場は、それぞれ年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)30.8%、18.6%で拡大、2016年には189億6,300万円、280億1,900万円に達すると予測している。

クラウドアプリケーションプラットフォーム全体の成長率ピークは2012年と予測しており、これは事業者の投資が顧客企業の投資よりも先行することを考慮しているためとなる。中でも、構成比の大きいIaaS向けアプリケーションプラットフォームソフトウェア市場の成長率ピークも同じ2012年となっている。

一方、PaaS市場の本格的な立ち上がりは、市場規模が100億円を超える2014年と同社ではみている。これは先行するセールスフォース、マイクロソフト、グーグルなどのベンダーの事業が順調に推移し、オープンなPaaSを標榜する後発サービスの正式サービスの開始時期を見込んでの予測となる。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの冨永裕子氏は、「PaaS市場の本格的な立ち上がりを前に、PaaSは2種類に分化していく可能性がある。1つは、IaaSと一体化したクラウドアプリケーションプラットフォームサービス、もう1つは、さまざまな軽量型言語を利用する開発者に対してのクラウド開発環境サービス。過渡期にある市場で勝ち残るために重要なのは、ミドルウェアやOSSビジネスでの既存顧客の囲い込みである。また、クラウドアプリケーションプラットフォーム市場全体の成長のためには、エンタープライズIT分野に利用を拡大させなくてはならない。顧客のIT調達方法に即して、参照可能なモデルとなる先行企業の成功事例と、課題解決シナリオに即したROIモデルの提示が求められるようになる」と分析している。