ルネサス エレクトロニクスは7月4日、次世代の高機能スマートメータ向けに、512KBの大容量フラッシュメモリと高精度計測用に24ビットΔΣA/Dコンバータ(ADC)を搭載した32ビットマイコン「RX21A」グループ9品種を発表した。

近年、スマートグリッドの進展により、省エネルギー化が図れるスマートメータ市場が急速に拡大しており、2014年には年間1億台超のスマートメータが導入されると予測されている。スマートメータの普及に伴い、低消費電力はもとより、各国の時間帯別料金など電力サービスの多様化に対応するため、複雑な電力演算、通信データ保護や不正アクセス防止のためのセキュリティ強化といった高機能化が必要であり、搭載するマイコンにも高性能化が求められている。

また、メータ機種の開発期間の短縮や効率化などの要求が強まると見込んでおり、様々な機種展開に対応できるマイコンの豊富なラインアップも要望があるという。さらに、昨今のエネルギー利用効率化を実現するHEMS市場も活況を呈しており、今後、電力計測用マイコンの高機能化や内蔵フラッシュメモリの容量増加が見込まれる。

これらの要望に応えるため、今回32ビットマイコン「RX21A」グループを製品化した。これにより、同社ではローエンドからハイエンドまでのΔΣADC搭載スマートメータ向けトータル製品群を提供できるようになった。

同製品群は、24ビットΔΣADCや暗号化エンジン、RTC(Real Time Clock:時計)、IrDAなどのスマートメータに必要な周辺機能をほぼ全て搭載しており、部品点数を削減しコスト低減が図れる。なお、24ビットΔΣADCは、85dBの変換精度(SNDR)を実現しており、暗号化エンジンはAES暗号(鍵長256ビット)に対応している。このため、スマートメータの測定精度向上に加え、次世代で要望される通信データの保護、不正アクセス防止といったセキュリティ機能が向上できる。

また、動作周波数を50MHzに高速化し、高性能処理に伴うマイコンのプログラム容量増加に対応するため、内蔵フラッシュメモリの容量を同社従来品比2倍となる512KBに増やした。消費電力は0.2mA/MHzと低く、CPU「RX」を搭載するとともに、スタンバイモードの消費電流は、RTC動作時で1.0μA、RTC停止時では0.3μAの低消費電力動作を実現している。これにより、スマートメータ動作時の消費電力低減、停電時のバックアップバッテリの小型化が実現できる。

製品ラインナップは、主に家庭で使用される単相方式および主に産業用途で使用される三相方式のスマートメータに対応するため、24ビットΔΣADCのチャネル数が3/4/7チャネルの製品を揃えると共に、各国の課金や通信システムの違いに対応するため、内蔵フラッシュメモリの容量を256/384/512KBの3種類を上記の製品ごとに揃えている。全9品種のラインアップにより、スマートメータの様々な機種に対応するとともに、システム設計の共通化による、機種展開時の開発工数削減が図れる。

サンプル価格は1個あたり660円。同社では、新製品用の開発支援環境を提供する他、スマートメータにおいて、マイコンと通信インタフェース部との絶縁に使用するフォトカプラ「PS2513/14」などを製品化しており、新製品とのキットソリューションも展開していく方針。

スマートメータ向け32ビットマイコン「RX21A」グループ