リコーは5月22日、2011年度から開始した「第17次中期経営計画(17次中計)」に関して、現在の市況などを踏まえた進捗状況の説明を行った。

リコー代表取締役 社長執行役員の近藤史朗氏

リコー代表取締役 社長執行役員の近藤史朗氏は冒頭、「17次中計を出した2011年度の1年間でさまざまな変化が起きた。東日本大震災に始まり、欧州の金融危機、タイの洪水、そして超円高と大変な一年となった。こうした中、基本的に我々がやるべきことは変わらないが、さらに変化を加速していかないと対応できない」とし、2011年度に出した17次中計の目標値に対し、冷静に事業の見直しを行い、下方修正したことを明らかにした。

これにより売上高は2兆4000億円から、急激な円高による為替の見直しや欧州、アジアのリスクなどを要因として2兆1000億円へと下方修正されたほか、営業利益も2100億円から1500億円へ、営業利益率も最終目標の10%は変更されなかったものの、中計の目標としては8.8%から7.1%へ、フリーキャッシュフローも2011年度の損失計上の影響から、2000億円から500億円以上へとそれぞれ下方修正された。ただし、総還元性向(配当+自社株)については維持するとした。

市場環境などを鑑み、17次中計における最終年度目標の下方修正を行った

また近藤社長は、現在の同社を取り巻く環境として「色々と投資を行ってきたがリーマンショック以降、経済活動の収縮などによりそれらが裏目にでるようになってきた。また、IKONの買収などにより間接業務が増えた結果、想定と逆の作用が働くようなことも生じている」とし、2011年度に公表した高効率経営の実現に向けた「体質改造」を目指した取り組みを推し進めていくことを強調した。

「体質改造」に向けてリコーが取り組んでいる主な施策

特に人員リソースの再配置については、すでに2011年度に国内中心に手を打っており、2012年度では国外を含めて実施し、2013年度には700億円の効果を見込むとする。国内向けでは、「売れる営業ほど残業が多くて効率が悪くなっていた。これをより効率の良いものに変えた」とワークスタイルの変化としての直行直帰や、モバイル機器/クラウド環境の活用により、オフィスに戻らないでも仕事ができる環境の構築などを実施したことを強調。これにより、人件費や付帯費などは低減していないものの、経理率の低下と営業利益率の向上が進んでおり、実質的に効率が向上していることを示しているとする。

人員リソースの再配置を2011年度、2012年度と行い、2013年度には700億円の改善効果を見込む。また、ワークスタイルの見直しによる効率改善など、単に人員を再配置するだけでなく、効率の良い働き方そのものを追求しており、すでにその効果が出始めているという

また、事業環境の変化に対応するための事業の連鎖(バリューチェーン)の構築にも触れ、「オフィスでの情報の出力先が変わってきている。モバイル化が大きな流れとなっており、いつでもどこでも働く環境を実現していかなければいけない。クラウドサービスが生活そのものを変えるのであれば、企業もそれに合わせて変化していかないといけない」と、同社の主軸であるプリンティング市場と、その周辺にあるITハード/ソフトとサービスを足し合わせて、ソリューションとして展開していくことで新たなリコー像を作っていこうとしていることを強調した。

出力ビジネスは、オフセット印刷やSOHO需要から、タブレット端末などで閲覧する電子閲覧へと需要がシフトしつつあり、こうしたニーズに対応するために既存/新規プロダクトとサービスを組み合わせ、新たなソリューションの創出を目指そうというのが同社の新たなビジネスとしての姿となる

なお、近藤社長は、「今回発表した目標はどうしても達成したい数字」として、売上高の2兆1000億円を中心に結果にこだわった事業強化や商品力の強化、ビジネススキームなどを2012年度、2013年度で推し進めていくとした。