サン電子は5月7日、静電容量型センサLSI「ZQprobeシリーズ」を開発し、半導体事業へ参入したことを表明した。同シリーズの第1弾製品となる「SS1018」は、5月8日よりサンプル出荷を開始する予定。

同製品は、小型静電容量近接センサ用の8入力LSIで、1入力あたり12msの検知速度を実現しており、以下の3つの特長を有する。

  1. 検知距離が長い
  2. 水濡れに強い
  3. 外来雑音に強い

1つ目の検知距離に関しては、スペック上では80cm離れた対象物の検知が可能としている。これにより、例えばタイルや天井などにセンサを配置し(センサ窓は不要)、対象がその場で止まっているのか、近づいているのか、遠ざかっているのかなどを検知することが可能となる。

2つ目の水濡れに関しては、パッド表面が水に濡れた状態であっても正確な検知が可能となる。このため、水回り、例えば浴室内などでの機器への搭載も可能となる。

そして3つ目の外来雑音に関しては、同製品の開発における協力会社であるエーシーティ・エルエスアイ(ACT・LSI)が長年培ってきたアナログLSI技術を活用することで実現しており、これにより自動車などの雑音環境で利用しても正確な検知が可能となるという。

量産は2012年の秋ごろを予定しているほか、同5月末には評価ボードの提供も予定しているという。また、将来的には入力数を減らした製品を提供していく計画のほか、光センサなどアナログ技術が重要となる別の測定物向けのセンサLSI製品を提供していくとする。さらに、センサLSIのみならず、幅広い事業を展開する自社の強みを活かして、モジュールやユニットなどのソリューションとしても製品展開を図っていきたいとしている。

サン電子がACT・LSIと協力して開発した静電容量型センサLSI「SS1018」。生産はファウンドリが担当、産業用途向けだが、入力数の削減やプロセスの微細化対応などの小型化により将来的にはタブレットやスマートフォンなどへの搭載も目指したいとしている