セイコーエプソンは8月24日、オフィス向けプリンタ全11機種の発表を行い、同時に国内ビジネスプリンタ販売戦略を説明した。今回発表されたのは、インクジェットプリンタ6機種と、レーザープリンタ5機種。A4サイズとA3サイズ、カラーとモノクロを取り混ぜてビジネス現場の要求に幅広く応えようとするラインナップだ。

全11機種の新製品

なお、各製品の主な特徴や仕様については、以下の記事を参照いただきたい。

エプソン、消費電力をおさえた32枚/分のA3対応モノクロページプリンタ
エプソン、1万円台の国内最小・最軽量クラスのA4ページプリンタ複合機
エプソン、約34枚/分対応モデルなど、ビジネスインクジェット3機種
エプソン、A3サイズをそのままスキャンできるFAX付インクジェット複合機

家庭用インクジェットプリンタのイメージが強い同社は、今回、ラインナップを大幅に拡充することで「ビジネスでもエプソン」というイメージを広めたいという。

セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長 奥村資紀氏

セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長の奥村資紀氏は、震災を機に急速に高まった節電要求をはじめとして、TCO削減という要求、市場成熟化による印刷多様化、クラウドやスマートフォンの普及による活用スタイルの変化といった市場背景を挙げて、「今年のエプソンは、ビジネスのすべての利用シーンに対応するインクジェットとページプリンタのラインナップで、要求にきめ細かく対応する」と語った。

すでに存在するColorioシリーズや、既存のレーザープリンタを含めるとかなりのラインナップとなるが、奥村氏は、「自社内での競合はしない。多少、かぶる部分があっても、気にするより選択肢を増やす方が有益」としている。

1枚目の出力速度にこだわったインクジェットプリンタ

インクジェットプリンタに新たに追加されたラインナップは、A4複合機2台、A3複合機2台、A3プリンタ専用機2台という構成だ。シンプルなA4複合機「PX-B700」と、FAX機能も搭載するA4複合機「PX-B750F」、同じくシンプルなA3複合機「PX-1600F」、FAX機能の付いた「PX-1700F」と、複合機はFAX機能の有無で選択可能。A3プリンタ専用機は、大量印刷や大判印刷需要に応える2段カートリッジでA3ノビに対応する「PX-1200」と、レーベル印刷に対応するなど店舗での利用に向いた「PX-1004」となっている。

PX-B700、PX-1200、PX-1004の記事はこちら
PX-B750F、PX-1700F、PX-1600Fの記事はこちら

このうち、A4複合機は「オフィスプリンタ=レーザー」という常識を覆し、オフィスで要求される高速・高耐久・高品位印刷を実現するもので、A3複合機は小規模オフィスのニーズを凝縮したモデルだという。

今回特に強化されたものとして、省電力化と低価格という「エコロジー・エコノミー」に加えて、ページプリンタに迫る高品位普通紙印刷と、1枚目の出力速度がある。高品位印刷については、新開発のヘッドをを搭載することで解像度が従来の350dpiから600dpiとなり、精細な印刷が実現されるとともに裏写りも軽減する。文字はくっきりと読みやすく、イメージはスムージング処理によってモアレを低減して自然な仕上がりにしているという。

高品位普通紙印刷

セイコーエプソン 情報画像企画設計第一統括部 副統括部長 和田高一氏

1枚目の出力速度へのこだわりについて、セイコーエプソン 情報画像企画設計第一統括部 副統括部長の和田高一氏は、「社内各部門に調査したところ、1度の印刷で1枚のみという答えが非常に多かった。5枚以下が約90%を占めている」と、実際のオフィスで需要のある機能であることを説明した。

セイコーエプソン社内でのプリンタ利用実態調査結果

また、モバイルクラウドサービスとの親和性向上として、プリンタ固有のメールアドレスに印刷したいファイルを添付したメールを送信することで、ワイヤレスプリントのできる「メールプリント」を秋からサービス開始することなども語られた。デザインについても、ローコントラストの明るい白を採用した凹凸の少ないものにすることで、オフィスになじむことを狙ったという。

今秋登場する「メールプリント」機能。同様の機能は、すでにHPのプリンタにも搭載されている