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毎日使うブラウザは高速である方がいい。ブラウザを高速化する設定やティップはすでにその多くが記事として公開されている。そうした記事のひとつにTaranfxのSpeedup Web browsing on Linux, Mac OS X, Windowsがある。ノートPCのメモリ容量が4GB、デスクトップのメモリ容量が8GBのようなサイズがめずらしくない現在、メモリディスクの機能を活用することでブラウザの動作を高速化しようという内容になっている。特にキャッシュで利用する領域をメモリディスクに移動させることで実行速度の向上を実施している。

記事はまず今日におけるブラウザ性能は外部記憶装置の入出力性能に制限を受けていると説明。これはSSDのように入出力の高速化が期待できるデバイスを使ってもそれほど手助けにならないという。この制限を回避するためにメモリディスクを直接使うようにすればいいと説明があり、Windows、Mac OS X、Linuxにおいてメモリディスクを活用する方法が紹介されている。通信帯域が高速である場合に特にこの設定の恩恵を受けられるほか、かりに低速回線であったとしても古いHDDを使っている場合には効果が得られると説明されている。紹介されているテクニックをまとめると次のとおり。

Windows Firefox メモリ使用設定

about:configの設定でFirefoxにおけるキャッシュをメモリのみで利用するようにする

Firefoxのアドレスバーにabout:configと入力して設定モードへ進み、browser.cache.でフィルタを実施。browser.cache.disk.enableをfalseに設定し、browser.cache.memory.enableをtrueへ設定。整数値で新しくbrowser.cache.memory.capacityを作成して、使用するメモリディスク容量をキロバイトで指定。なお、browser.cache.memory.capacityに-1を指定すると物理メモリサイズに合わせて自動的に値を設定してくれると説明がある。

Windowsメモリディスク作成とChrome設定

RAMDiskを使ってメモリディスクを作成する

Chromeの起動時にメモリディスクを使用するように指定する

アプリケーションがメモリディスクをサポートしていない場合、ユーティリティツールを使ってメモリディスクを作成し、キャッシュフォルダをメモリディスク上に指定する。記事ではWindowsにおけるメモリディスク作成ツールとしてRAMDiskを紹介。作成したメモリディスクを使用する例としてChrome起動時のオプションに--disk-cache-dir="フォルダ名"と--disk-cache-size="バイト"の指定が紹介されている。Firefoxと異なり、ここでの指定はバイト単位。なお、RAMDiskは作成したメモリディスクに対してダンプとリストアの機能も提供しており、永続的に利用することもできる。

Mac OS Xメモリディスク作成とSafari設定

Esperance DVでメモリディスクの作成、永続化設定、Safariでの活用などを設定できる

Mac OS X Leopard/Snow Leopard向けの方法としてはEsperance DVを使ってメモリディスクを作成する方法が紹介されている。Esperance DVRAMDiskと同じくダンプ/リストアによる永続化をサポート。さらにSafariのキャッシュデータを自動的に置き換える機能も提供されており、Safariを高速化する場合にはこのツールだけでことたりるようになっている。

Mac OS XメモリディスクとFirefox設定

rm -r ~/Library/Caches/Firefox
ln -s /Volumes/RamDisk/Firefox ~/Library/Caches/Firefox

Esperance DVのSafariサポートはキャッシュフォルダをメモリディスク上に指定する処理になっているだけなので、同様の作業をしてやればほかのブラウザでも同様の効果が期待できる。記事には上のようにFirefoxのキャッシュをメモリディスクに設定する方法が紹介されている。

UbuntuメモリディスクとFirefox設定

Firefoxでキャッシュディスクのパスを設定

Linuxでは/dev/ram0を使うかtmpfsを使うなどしてメモリディスクを作成し、マウントした先にディレクトリを作成して利用する方法が紹介されている。Linuxに限らずメモリディスクを作成できるほかのUnix系OSでも同様のテクニックが利用可能。Firefoxの場合、about:configの設定でbrowser.cache.disk.parent_directoryの値をメモリディスクへ向けるようにする。値がない場合には文字列として新しく作成する。

UbuntuメモリディスクとChrome設定

Chromeの起動時にキャッシュディスクのパスを設定

Chromeを使う場合も同じ。WindowsにおけるChromeのときのように、起動時にオプションを指定してメモリディスクを利用するようにすればよい。

Speedup Web browsing on Linux, Mac OS X, Windowsの説明によればこうした設定で素晴らしい性能の向上が実現できたとある。ただし、設定によってはキャッシュした内容はアプリケーションやOSを再起動すると消えてしまうため、アプリやシステムの起動やシャットダウンを頻繁に行う場合には逆に性能が劣化するケースも考えられる。最近のPCのようにシステムを再起動せずに使い続けるタイプのシステムの場合には、こうしたメモリを使ったキャッシュ機能の恩恵を受けやすい。

メモリディスクを作成して利用する方法はブラウザに限らずほかのアプリケーションでも性能改善が期待できる。使い方を誤るとデータが保存されないという事態になるため注意が必要だが、十分な容量のメモリを廉価に入手しやすい現在、こうしたテクニックは性能改善を実現する方法として活用しやすい状況といえる。