ソニーは、液晶ディスプレイの高速応答を可能とする新たな液晶配向技術として「Hybrid FPA(Field-induced photo-reactive alignment)」を開発したことを明らかにした。12月1日より福岡国際会議場で行われている第17回ディスプレイ国際ワークショップ(IDW'10)において、2日に発表が行われた。

左が従来のFPA、右が今回新たに開発したHybrid FPAのイメージ図

同社は、VA液晶モードを発展させた高速液晶応答の配向技術「FPA」を2010年5月に発表している。液晶の応答速度を向上させるため、液晶分子にあらかじめ傾き(プレチルト)を付与しておく方法があるが、FPAは、独自開発した配向膜を用い、パネル製造工程のプレチルト付与時に電圧を印加しながらUV光を照射し、配向膜によりプレチルトを保持する技術。これにより、液晶分子の配向が均一かつ安定になり、液晶の応答速度とコントラスト比の向上が実現することとなる。また、ディスプレイのムラや長期間使用時の焼き付きなどを無くすことも可能になる。

今回のHybrid FPAはこのFPAを発展させたもので、片側の基板の配向膜のみにプレチルトを保持させることで、液晶応答速度の向上、中でも従来難しかった電圧オフ時の液晶応答速度の向上と高コントラストを実現した。

同技術を用いた試作パネルでは、3ms以下の高速応答を実現しており、同社では同技術について3Dやハイフレームレートの動画表示などの画質向上に寄与する他、液晶パネル製造時および長期間使用時の"品質安定性"、製造工程・処理時間の短縮による"生産性向上"などにも効果を発揮すると期待を寄せている。