Webブラウザを開発・提供するOpera Softwareがアイスランドに建設していた「Opera Miniデータセンター」が11月1日に稼働開始した。ひと月に369億以上のWebページを開くOpera Miniユーザーに、モバイル機器向けに圧縮したページデータを供給するデータセンターになる。この新データセンターオープンで話題になっているのがアイスランドという場所だ。アイスランド以外の国の企業としては初の大規模データセンターの開設になる。

アイスランドは「氷の土地」という名前を持つが、同時に火山活動が活発な「火の国」でもある。OperaはアイスランドのThor DCが、この2つの特徴を活かしたエコフレンドリーで高効率なデータセンターを実現している点に着目した。アイスランドでは電力供給に、化石燃料を燃やさずに熱エネルギーを確保できるクリーンな地熱発電が利用されている。Operaのデータセンターは、地元のHS Energyから3.2メガワットの電力供給を受ける (19.2メガワットまで拡大可能)。またアイスランドは平均気温が夏場で10度程度、冬場は0度程度だ。厳しい寒さではないが、年間を通して冷たい。その気候をThorはシステム冷却に利用しており、これにより熱対策のエネルギーとコストを大幅に抑えられる。

Thorはデータコンテナを手がけるスペインのAST Globalと提携しており、Thorデータセンターは小型ユニットの増減でデータセンターへの要求の変化に対応できる柔軟でスケーラブルな設計になっている。

エコフレンドリーなデータセンターを考えた場合、アイスランドは自然環境がデータセンターの必要を満たすユニークな土地である。だが今年春にエイヤフィヤトラヨークトルの火山が噴火し、欧州を中心に交通麻痺を引き起こしたのは、まだ記憶に新しい。データセンターに欠かせない安定した運用が維持できるか……アイスランドにデータ処理を移した初の国際的な会社Operaの成否が注目される。