ルネサス エレクトロニクスは、マイコン向け小型LSIパッケージ技術を開発したことを発表した。

同技術は、「FO-WLP(Fan-Out Wafer-Level Package)」と呼ばれる、ウェハレベルの再配線技術を用いたパッケージ技術の一種で、独自の3D IC技術である「SMAFTI(SMArt chip connection with FeedThrough Interposer) 」の要素技術である、ウェハレベルの多層配線形成技術と接合技術を応用し、小型マイコン向けパッケージとして最適化を行ったもの。

FO-WLPは、支持体ウェハ上に形成した配線体へのCPB(Copper Pillar Bump)の形成および電極パッドに無電解めっき処理を行ったマイコンチップを高速で接合するC2W(Chip-to-Wafer)接合技術、ウェハ全体をモールド封止するプロセスにおいて約10μmのチップ-配線体間のギャップも一括で封止できる生産性の高いウェハモールド・アンダーフィル技術などを採用することにより実現した。

同技術により、従来3.0mm×3.0mm×0.7mmのパッケージへ封入していたベアチップサイズが1.6mm×1.6mmの8ビットマイコンを、体積80%減となる2.0mm×2.0mm×0.3mmのパッケージへ封止することに成功。配線体はポリイミドとCuにより形成された2層メタル配線で、最小線幅/スペースは15μm/10μm、層間ビアサイズは20μmを実現している。

また、同パッケージをプリント基板に実装した状態で、チップ-配線体間、配線体-プリント基板間の電気的接続を測定した結果、-40/+125℃の温度サイクル試験で一般的といわれている1000サイクル以上の信頼性を確認したほか、同再配線技術を、マイコンチップとアナログ/RF ICチップなど複数のチップを横に並べて高密度な配線で相互接続する形で応用することで、1個のチップを封入した通常パッケージと同等サイズへ小型化・高集積化できる新パッケージ「SiWLP(System in Wafer-Level Package)」も実現可能とした。

なお、FO-WLPを応用したマイコンは、2011年末をめどにサンプル出荷を開始する予定としている。