メディアで見聞きしたことがある人も多いと思うが、今年2010年は国連が宣言した「国際生物多様性年」である。現在、地球上にある生物種の数はおよそ3,000万と言われているが、絶滅の危機に瀕している種もまた数多い。どの生命にも人類と同じように価値がある、地球上に数多くの生命が存在することを守らなければならない - このスローガンの下、国連は今年初頭からさまざまな活動を行っている。

今回子どもたちに指導を行ったグーグル ウェブマスターの川島優志氏は日本人初のDoodleデザイナー

そして、この国連の呼びかけに賛同し、さまざまなアクションを起こしている企業も多い。Googleもそのひとつで、同社は全国の小中高生を対象にしたGoogleロゴのデザインコンテスト「Doodle 4 Google 2010」のテーマに、国際生物多様性年にちなんだ「地球のなかまたち」を採用し、作品を募集している。日本でDoodle 4 Googleが開催されるのは今年で2回目。ちなみに昨年のテーマは「私の好きな日本」で、6万8,000点を超える作品があつまった。

Doodle 4 Googleの今年のテーマである「地球のなかまたち」 - 子どもたちに、自分の身の回りにいる生き物や、興味のある生き物をDoodleとして描くことで、自然についての理解を深め、生き物のすばらしさを世界の人びとに発信してもらいたいという願いをGoogleは込めている。

子どもならではの自由な感性で生き物をテーマにデザインするとGoogleロゴはどう描かれるのか - 実際にグーグルのウェブマスター 川島優志氏が千代田区立お茶の水小学校で子どもたちに指導する授業を取材させてもらった。以下、写真とともにその模様をお伝えしたい。

お茶の水小学校5年2組の生徒たち約20名。図工室に入るなり我々取材陣にも「失礼します、こんにちは」ときちんと挨拶。感心、というよりちょっと感動

「Googleを知っている人ー?」と聞くと、生徒のほとんどの手が挙がり川島氏らGoogleスタッフも大喜び

デザインの仕事、ウェブマスターという仕事についての説明に、子どもたちも興味津々。未来のWebデザイナーが今日、ここから生まれる!?

今回のDoodle 4 Googleのテーマは「地球のなかまたち」 - それぞれが"生き物"についてじっくりと考え、自分で表現することに意義がある

先生が小学2年生の描いたDoodle作品を紹介。「子熊がハチの巣から蜂蜜を盗ろうとして、ハチに刺される、それをお母さん熊が助けに来る - Doodleの中に1つの物語が出来上がっていてすばらしい」と絶賛。ここで5年生が負けるわけにはいかない!?

まずは鉛筆で下描き。最初はなかなか筆が進まず、描いては消し…の繰り返し。川島氏は「失敗してもいいから、自由なイメージでどんどん手を動かして」とアドバイス。「実際に見たことがない生き物や想像上の生き物でもかまいません。自由な発想が大事」という声に、しだいに思い思いの生き物たちがあらわれてきた

下描きの段階からすでにレベルの高い作品が!

下描きが終わって、川島氏のもとへ。ひとりひとりの作品を丁寧にチェックする川島氏。どの生徒に対しても「これはおもしろいね」「すごく良く描けていますよ」「色が付くのが楽しみです」と優しく激励する姿が印象的だった。ここで本番用の紙をもらって色付け開始!

本番用の紙にクーピーや色鉛筆を使ってそれぞれのDoodleに彩りを付ける。生き物の選択だけでなく、色使いにも個性がにじみ出る

出来上がったばかりのDoodleを拝見させてもらいました。左の子は下書きも本番もいちばん早く仕上がっていた。描かれている生き物も動物、植物とバラエティに富んでいて、"早くてキレイ"の見本のような作品。右の子は画力もさることながら、「生物多様性といってもいいことばかりじゃない。汚れている地球を、いろんな動物たちの目が見ているぞ、というメッセージが伝わってくる」(川島氏)とGoogleウェブマスターも絶賛の着想力がすばらしい

2コマを使って行われたGoogleの課外授業、川島氏は「教える立場で来たが、僕のほうが教わることがずっと多かった。子どもたちの発想力は本当にすごい」と満足げ。取材陣からは「自分が5年生のときはこんなに上手に描けなかった……」という声がちらほら(担当は今も昔も描けません)。子どもならではの自由で伸びやかな感性を思う存分発揮してほしい、という思いが込められているDoodle 4 Googleだが、お茶の水小学校の例を見る限り、今年もレベルの高い作品が数多く集まりそうだ。

Doodle 4 Google 2010の作品応募は9月17日で締め切られる。10月から投票が開始され、11月には各地区の部門別最優秀作品、さらにはグランプリ受賞作品が選出される予定になっている。