STMicroelectronicsは、iBiquity Digitalが、アルプス電気のモジュールに搭載されている同社チップセットに対し、「HD Radio Technology」に必要とされる性能を包括的にサポートしていることを認証したと発表した。

ベースバンド受信用IC「STA680」およびRFフロントエンドIC「TDA7706」の活用イメージ

HD Radio TechnologyはiBiquityにより開発された技術で、、2002年、米国における唯一のデジタルAM/FM放送用システムとして、Federal Communications Commission(連邦通信委員会)より承認されている。従来のラジオに比べ音質の改善、より多くの番組の提供、そして既存のFM/AMラジオ・チャネルを使用した新しいワイヤレス・データ・サービスを実現することが可能。現在、2,000以上のラジオ放送局が、米国の人口の84%以上が無料で利用できる主要なラジオ番組をデジタルHD Radio技術を用いて放送しているほか、自動車市場においても普及が進んでおり、これまでに合計13ブランドの70車種以上で採用されている。

STMicroelectronicsが提供する信号受信から信号処理までのソリューションは、ベースバンド受信用IC「STA680」およびRFフロントエンドIC「TDA7706」を組み合わせ、限定受信(Conditional Access)サポートやデュアル・チャネル・アプリケーション(HD Radio 1.5)などの機能によりHD Radio受信機の機能を拡張している。

また、放送事業者が従量制課金オプションの提供や、特定のニーズに合わせた専用チャネルの設定を可能にする技術が搭載されており、限定受信システムでは、信号をスクランブルし、認証された受信機のみがカスタム・キーにより信号を複合化することが可能となる。

さらに、HD Radio 1.5に対応した受信機は、2つの独立した無線チャネルの音声とデータを同時に復調することができるため、1つのチャネルからオーディオ情報を受信すると同時に、もう1つのチャネルから交通情報・天気予報などの情報を受信することが可能だ。

なお、iBiquityによる認定の評価項目は、感度、捕捉時間、音声品質検証、機能確認、ビット・エラー・レート(BER)試験などで、同モジュールは、すでに複数の純正品およびアフターマーケットのHD Radio受信機に搭載されている。