米Evernoteが提供する情報管理ツール「Evernote」を巡る動きが活発化している。23日に開催された同社日本法人、エバーノート株式会社の設立会見では、ソフトウェア会社から文房具メーカーまでさまざまな業種がパートナー企業として参画することが発表された。

米Evernoteにとって日本は米国に次ぐアクティブユーザ数を抱える重要な市場。今年3月にはクライアントツールの日本語版をリリースしており、今回の現地法人設立によって日本での展開が本格化することになる。「日本のユーザにより良いサービスを提供し、同時に開発を行ない、さらにパートナー関係を構築していくことが重要」(フィル・リービンCEO)。日本法人の体制は、元ソニーの中島健氏が代表に就任。ソニー VAIO事業本部時代にEvernoteに惚れ込み、VAIOへのバンドルに関わった。また、Appleでマーケティング職などを務めた経歴を持つ外村仁氏がスペシャルアドバイザーとして会長に就任したほか、年内に5名の社員を採用する予定となっている。

米Evernote CEO フィル・リービン氏。Evernoteは「2年も使っていれば、自分自身の生活の一部になる」。使用歴1年以上のユーザの8%が有料モデルを選び、その割合は2年では16%に

米Evernote Vice President兼Japan Operation 中島健氏。ソニー VAIO事業本部から転身。「Evernoteを使わない日はない」

日本法人の設立に合わせ、国内パートナー企業からもEvernoteを活用した製品やサービスが発表された。

Evernoteのパッケージ版を販売するソースネクストは、iPhone搭載カメラで撮影した名刺をEvernoteに登録できるアプリ『超名刺 Business Card Manager』を発売する(7月中)。これはEvernoteの新機能である"画像内日本語テキストの認識(OCR)"を利用したものだ。異色とも言えるコラボも展開される。文房具メーカーのぺんてるは、デジタルペン「airpenMINI」で書いた内容をEvernoteに転送するソフトを6月30日より提供。バリューイノベーションからは、Evernoteに取り込みやすい形で手書きメモができる手帳『保存するメモ帳 abrAsus Evernoteエディション』などが発売される(7月19日)。このほか、NECビッグローブやぐるなび、アイファイジャパン、ITMediaからもEvernoteとの連携が発表された。

「Evernoteの技術は、人をつなぐ技術」(外村氏)。柔軟性の高い同期型情報管理ツールとして支持されているEvernoteだが、多彩なパートナー企業の存在がサービスの充実化につながりつつある。