情報処理推進機構

情報処理推進機構(IPA)は5月31日、GPL以外の主要なオープンソースソフトウェアライセンスについて、そのライセンスの特徴、プロジェクトにおける利用状況とそのライセンス戦略、ライセンスに関する係争などについて調査した結果を報告書として公開した。GPLv3に関してはすでに別の解説書を提出しているため、同報告書では軽く説明する程度にとどめている。

報告書ではまず、数あるOSSライセンスを「コピーレフト」の観点から3種類に分類。次の2つの条件にどのように当てはまるかで分類している。(a)(b)ともにある場合はコピーレフト型、(a)のみなら準コピーレフト型、どちらも該当しないなら非コピーレフト型となる。

  • (a) ソースコードを改変した場合に、改変部分のソースコードを開示する義務がある
  • (b) ソースコードを他のソフトウェアのソースコードと組み合わせた場合に、他のソースコードにも開示義務を負わせる
ライセンス種類 代表的なライセンス
コピーレフト型 GPL, AGPL, EUPL
準コピーレフト型 MPL, LGPL, CDDL, CPL, EPL, YPL
非コピーレフト型 BSD, Apache, MIT, Sendmail, OpenSSL/SSLeay, CPOL, ISC, Artistic

それぞれの種類で代表的なライセンスはGPL、MPL、BSD。これらのライセンスと比較してどういった違いがあるかが丁寧に説明されている。次に、代表的なOSSプロジェクトからライセンス的に興味深い次のプロジェクトを取り上げ、そのプロジェクトがどういった戦略的目的をもってライセンスを採用したかが説明されている。

ソフトウェアカテゴリ ライセンス戦略を紹介するプロジェクト
OS/ミドル Android, LiMo, Symbian, OpenSolaris, NetBSD
ライブラリ Qt, OpenSSL, OpenJDK, GCC, GPL Flash Library
ツール Chromium, Firefox, CIRCA, Zimbra Collaboration Suite, OpenOffice.org, Eclipse
業務サーバ BIND, Apache HTTP Server, Samba, MySQL, Firebird, Sendmail, Asterisk

大まかに分けると、次の3つのライセンス戦略に分類されるという。

  • オープンソースの理念を貫くためのライセンス戦略 (コピーレフト型など)
  • 開発コミュニティを最優先に考えたライセンス戦略 (準コピーレフト型など)
  • OSSの商用利用を促進するためのライセンス戦略 (非コピーレフト型など)

残りは米国および欧州におけるOSSライセンスに関係した主な係争が紹介されている。OSSライセンスそのものの本質が焦点になった係争もあるが、ほとんどがGPL違反に対して不適切な対処をしたために起こった係争になっている。

OSSはシステム開発やソフトウェア開発、運用においてもはや欠かすことのできない位置を占めている。しかし、多数存在するライセンスと、そのライセンス間の影響など、法律の専門家でなければ判断できないことも多い。IPAから公開された報告書は代表的なライセンスに関する説明の要点や、ほかのライセンスとの関係がわかりやすくまとまっているほか、戦略や係争といった観点からの説明もまとまっており参考になる。報告書は167ページ、GPLv3解説書は258ページとかなりボリュームがあるが、一度目を通しておきたい資料といえる。