三洋電機 取締役副社長 副社長執行役員である本間充氏

三洋電機は10月21日、都内で開催した「SANYO TGフォーラム」において、同社取締役副社長 副社長執行役員である本間充氏が、同社の自動車向け2次電池事業の概況や、同社加西事業所にプラグインハイブリッド車(PHV)向けリチウムイオン電池の生産ラインを導入する計画があることなどを説明した。

本間氏は、同社のハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)向け2次電池事業について「我々はHEV事業を近い将来のコア事業と位置づけ、これまで開発を行ってきた」と説明。化石燃料の枯渇懸念や価格の高騰、そして日本におけるCO2排出量の約20%が自動車であることなどから、CO2の削減に向けHEVやさらにモータへの比重を高めるPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、そして究極解である電気自動車(EV)の実用化において「電池技術の発展が重要との思いで開発を続けてきた」(同)とする。

10・15モードにおけるそれぞれの燃料でのCO2排出量

各国での自動車向け環境対応政策

同社がHEV用ニッケル水素(Ni-MH)電池の開発を開始したのが1997年1月、2004年にはFordならびに本田技研工業(ホンダ)向けにNi-MH電池モジュールの量産を開始、2006年からはHEV用リチウムイオン電池のパイロットラインを徳島工場に導入し、これまで随時拡張を行ってきたという。

三洋電機のHEV事業のこれまでの取り組み

2次電池の生産拠点

2009年3月には加西工場にHEV用リチウムイオン電池の量産用1号ラインが導入され、現在月産10万セル規模の生産が行われているという。2009年9月からは2号ラインの導入に向けた新工場の建設に着工、2010年7月の竣工直後に月産100万セルの規模でHEV用ラインが稼働する計画となっている。

加西工場に新設される新工場のイメージ

加西工場での新規量産ラインのスケジュール

また、同時期にPHV向けリチウムイオン電池の量産ラインとなる3号ラインの導入も進め、2010年末までに設備の設置を終え、2011年からの稼働を計画している。こちらは月産30~40万セル規模としている。また、同社では2015年までにHEV向けリチウムイオン電池に累計で約800億円の投資を予定しており、2015年には月産1,000万セルへと生産規模を拡大する計画を立てている。これについて本間氏は「市場の需要にもよる。この計画が前倒しとなるか、後送りとなるかはすべて顧客の動向次第」と市況に応じた対応を随時とっていくことを強調する。

HEV向けリチウムイオン電池の生産能力ロードマップ

加西工場では、リチウムイオン電池の量産ラインの増設のみならず、Ni-MH電池のシステム生産工程(後工程)を2009年10月に新設する予定で、こちらについては、2009年末で300万セルに向けた投資を行ってきており、その後も増産に向けた取り組みを行っていくほか、後工程の現地化も米国、欧州、中国などで進めていく計画とする。

なお、このNi-MH電池については現在、第2世代品が複数の自動車メーカーの2009年モデルに採用が進んでいるが、同社では2013年をめどにさらに高出力化、高耐久化、メモリ効果の改善を実現した第3世代品の提供を計画しているとしており、Ni-MHおよびリチウムイオンの両輪で、2020年には拡大するHEV/PHV/EV向け2次電池市場でシェア40%の獲得を目標としたいとしている。

第1世代のHEV用Ni-MH電池モジュール搭載システム

HEV用Ni-MH電池(単セル)

HEV用Ni-MH電池(4セルモジュール)

168セル搭載のHEV用Ni-MH電池システム

HEV用リチウムイオンセル(5Ah)

PHEV用リチウムイオンセル(20Ah)