LSI設計ツール(EDAツール)の大手ベンダ米Cadence Design Systemsの日本法人である日本ケイデンス・デザイン・システムズは、同社の顧客向け技術講演会「DA SHOW/CDNLive! Japan 2009」を7月16日~17日に東京の明治記念館で開催した。

日本ケイデンスは毎年7月に顧客向けの技術講演会を開催している。講演内容は同社の考えるLSI設計の将来像や、同社のLSI設計ツール製品の解説、ユーザーによるLSI設計事例などだ。本レポートでは7月16日の基調講演セッションから、ケイデンスによる2件の講演をご紹介する。

「DA SHOW/CDNLive! Japan 2009」の基調講演会場風景

2009年の半導体市場は2桁のマイナス成長予測

基調講演セッションの前半は、米国本社でプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるLip-Bu Tan氏が講演した。講演タイトルは「Succeedings in Today's Dynamic Electronic Industry」である。

Tan氏は初めに世界のマクロ経済の先行きを述べた。2008年に発生した世界同時不況により、2009年の世界経済(GDP)は1%強のマイナス成長となることが見込まれている。2010年には弱いながらも世界経済は回復し、2%くらいの成長を達成すると予測される。

続いて2009年の世界半導体市場がどの程度の成長率になるかを、さまざまな調査機関が公表した数値の推移を示した。2008年12月時点では平均すると8.3%のマイナス成長だったのが、時間が経つにつれて予測値が悲観的になり、2009年6月には平均すると19.5%のマイナス成長となった。

さまざまな調査会社による2009年の世界半導体市場の予測(成長率)

四半期ごとの世界半導体売上高をみると、2008年第4四半期に前期比で大きく下がり、2009年第1四半期にも前期比でマイナスとなった。しかし2009年第2四半期以降はゆるやかな回復が予測されている。

四半期ごとの世界半導体市場(金額)の推移

半導体市場の回復をけん引する応用分野を予測することは簡単ではない。Tan氏は回復をけん引する可能性のある応用分野を4つ挙げていた。第4世代(4G)の携帯電話機、スマートグリッド、医療エレクトロニクス、エマージング市場である。革新的な新製品の登場が期待される。

半導体市場の回復をけん引する候補