NECと日本事務器(NJC)は、昨年から開始されたレセプトのオンライン化を見据え協業し、両社合わせて500名規模の営業、SE、サポート体制で、拡販およびシステム構築、保守、運用支援を行うと発表した。

レセプトは診療報酬明細書の略称で、医療機関が健康保険組合などに対し、保険請求のために作成する明細書のこと。厚生労働省では、このレセプトの送付をオンライン化するよう指導しており、2008年4月から400床以上の病院では、すでに義務化されている。今後は、400床未満の病院、診療所、薬局などがオンライン化され、2011年には、原則すべての医療機関でオンライン化される予定だ(レセプトのオンライン化スケジュール)。

協業を発表するNEC 医療情報システム事業部 事業部長 高平敏男氏(左)と日本事務器 代表取締役社長 田中啓一氏(右)

今回の両社の協業は、業務運用や既存システム見直しの機運が高まっているレセプトオンライン請求時代を見据え、こうした市場動向に対応するもの。具体的には、NECが開発、販売する医療事務システム「MegaOakIBARSII(メガオーク アイバース セカンド)」の中核エンジンをNJCにライセンス提供すると同時に、両社は共同で、オンデマンドVPNによる「IBARSonline(アイバースオンライン)サポートサービス」の提供を開始する(サービス開始予定は2010年3月)。なお、IBARSonlineサポートサービスには、昨年発表されたNECとNTTデータとの協業によるVPNが利用される。

今回の協業の内容

NJCは、従来から独自開発のエンジンを搭載した「MAPS」シリーズを販売していたが、今後はNECのエンジンを搭載した「MAPSIBARS(マップス アイバース)」の名称で新たに製品化し、本日2月12日より販売を開始する。これによりNJCは、医療制度の変更に伴う改訂等の開発・保守作業が軽減され、サポートサービスに注力できるというメリットがある。

医療事務システムにおいては、診療報酬改定、医療制度改定、薬剤マスタ変更等が発生するため、これに対応する改定モジュールを頻繁にリリースする必要があるが、従来は、媒体にコピーして持参または郵送でリリースすることが多かった。来年3月に開始される予定の「IBARSonlineサポートサービス」では、これらのモジュールをオンデマンドVPNで提供していく。

最近の医療・ヘルスケアの動向

NJCでは、IBARSonlineサポートサービスの提供を期にサポートを従来のサービスとともにパック化し、今後は300-100床の中規模病院と、大規模な精神科・療養型病院な病院を中心に販売し、今後3年間で250本の販売を目指していく。

NJCが新たにパック化する「MACHサービスメニュー」

一方NECでは、大規模病院向けの医療事務システム「MegaOakIBARSII」と、中小規模病院向けの医療事務システム「MegaOakIBARSII/LT」に加え、今回のNJCとの協業によるエンジン拡販に努め、今後3年間で650セットを販売し、シェア20%を目指す。

NEC「MegaOakIBARSII」とNJC「MAPSIBARS」の主な市場ターゲット

また、NECでは今後の医療ソリューションの方向性として、単に1つの病院のシステムで完結するのではなく、病院、診療所、薬局等の地域医療を支える施設間の情報連携を支援し、地域医療連携ネットワークを推進するとともに、さらに官公庁といった行政機関や保健所、福祉施設、介護施設とも連携する、「EHRネットワーク」「ヘルケアネットワーク」に進化させていきたい考えだ。

NECが目指す医療ネットワーク