Windows Home Serverでは外部からインターネット経由で接続することを実現します。外部からウェブブラウザでアクセスし、Windows Home Serverの共有フォルダにアクセスできます。また、ホームコンピュータ(クライアント)にリモートデスクトップ接続できます。Windows Home ServerはダイナミックDNSの機能を装備しているため、固定IPアドレスの接続契約を結ばなくとも、一般的な動的IPアドレス割り当てインターネット接続サービスで、外部から接続できます。

なお、リモートデスクトップサーバ機能を装備しているのは、Windows XP Professional、Windows Vista Business/Ultimateです。Windows XP Home Edition、Windows Vista Home Basic/Premiumは、リモートデスクトップクライアント機能しか装備していないため、他のコンピュータをリモート操作することしかできません。また、Windows Vistaではリモートデスクトップ認証が強化されていますが、Windows Home ServerはWindows Server 2003ベースのOSであるため、Windows Vistaのホームコンピュータをリモートデスクトップサーバにするときは、セキュリティレベルを下げる必要があります。

リモートデスクトップサーバとなる各ホームコンピュータのシステムのプロパティの[リモート]タブで、リモートデスクトップ接続を有効に設定。Windows Vistaでは「セキュリティレベルは低くなります」を選択

リモートアクセス許可設定

リモート接続を使用するためには、Windows Home Serverコンソールにログオンし、[設定]ボタンをクリックして「Windows Home Serverの設定」ウィンドウを開きます。 [リモートアクセス]ボタンをクリックし、[有効にする]ボタンをクリックします。

[有効にする]ボタンをクリック

ルータの[詳細]ボタンをクリックすると、ルータの設定を確認し、インターネットのからの接続が可能かどうか確認します。現在一般的なUPnP対応のブロードバンドルータであれば、[セットアップ]ボタンをクリックするだけで、自動的に適切な設定を行います。UPnP非対応のルータの場合はHTTP(ポート80)、HTTPS(ポート443)、RDPプロキシ(ポート4125)について、手動でルータに着信許可の設定をする必要があります。

[ドメイン名のセットアップ]ボタンをクリックすると、WLCD(Windows Live Custom Domains)サービスに接続し、無料で希望するドメイン名を取得できます。ただし、WLCDを利用するためには、あらかじめWindows LiveのIDを取得(無料)しなければなりません。Windows Liveについては、Windows Liveのホームページにアクセスしてください。MSNのIDを取得済みであれば、MSNのIDをWindows Liveで利用できます。

WLCDでドメイン名を取得すると、Windows Home Serverは、WLCDと連携してダイナミックDNSを運用します。インターネットに接続中、15分ごとにルータのIPアドレスを確認してWLCDのネームサーバの情報を更新します。これによって、動的IPアドレスでインターネットに接続していても、WLCDで取得したドメイン名で外部からWindows Home Serverネットワークに接続できます。なお、WLCDのダイナミックDNSは、Windows ServerのActive DirectoryドメインのダイナミックDNS運用とは異なります。

リモート接続

リモート接続するときは、ローカルコンピュータInternet Explorerを起動し、WLCDで取得したドメイン名を入力してください。LAN内であれば、「http://server」で接続できます。なお、環境によっては証明書のエラーを表示することがありますが、接続を続行してかまいません。

[ログオン]ボタンをクリックし、Windows Home Serverのユーザー名とパスワードを入力

ホームコンピュータにリモートデスクトップ接続するときは、ログオン後のWindows Home Serverサイトで、[コンピュータ]タブをクリックします

接続先のコンピュータ名をクリックして、リモートデスクトップ接続を開始します。

共有フォルダを使用するときは、Windows Home Serverサイトで[共有フォルダ]タブをクリックします。

各共有フォルダを開いて、ファイルにアクセス(ダウンロード/アップロード)できます

Windows Home Serverの特長は簡便さ…しかしセキュリティに難あり

以上のように、Windows Home Serverの特長は、なんと言っても「簡単に使える」の一言に尽きます。従来のシステムであれば、システム管理者がシステム設計を行って慎重に構築していた、サーバのHD増設、ネットワーク内のコンピュータのバックアップ、ファイルの復元、コンピュータの復元、リモートアクセス…これらを、システム管理の知識を必要とせずに簡単に利用できます。これまで、システム管理者不在で本格的なサーバ(Windows ServerやLinuxベースのサーバなど)の導入に及び腰だったSOHOネットワークでも、気軽に導入することができます。ほとんどの場合、既存のネットワークを再構築する必要もなく、単にWindows Home Serverをネットワークに追加するだけです。

一方で、既定の設定で「簡単に使える」という以外で、従来のWindows Serverに勝る機能は何もありません。すでにWindows Serverを導入し、さまざまな環境を構築して運用しているオフィスであれば、わざわざWindows Home Serverを導入する意味はないでしょう。むしろ、Windows Home Serverでは、ワークグループネットワークの特徴である、ユーザーアカウントを統一的に管理できない、ユーザーの権限を詳細に設定できないなどのセキュリティ上の問題が目立ちます。Windows ServerのActive Directoryドメインネットワークであれば、サーバ側から強制的に統制をかけて安全なネットワークを構築することができますが、Windows Home Serverでは、セキュリティ対策に関して各ホームコンピュータのユーザーを信用するしかありません。 ビジネス用途でのWindows Home Serverの導入にあたっては、セキュリティの脆弱さが業務に与える影響を十分考慮する必要があります。