通信市場の独占打破に期待集まる

独占禁止法制定の目的は、国内外での独占行為の防止にあり、経営者と消費者の合法的な利益を守り、企業の競争力を高め、国民経済の健全で持続可能な発展を保障するためのものだ。

そうした中、独占禁止法の意義の一つとして、中国の通信業界が通信インフラ配分の最適化を実現し、通信市場における競争の公平性と有効性を保障し、消費者の利益を増大させることが挙げられる。なぜなら、中国通信市場の構造には深刻なアンバランスがあるからであり、独占禁止法の登場は通信業界へ大きな衝撃を与える事が予想される。

独占禁止法は中国通信業界における独占の現状を打破し、同業界を管轄する監督官庁などの従来の理念を改変することが期待されている。また、通信業界に対する管理監督の透明性を高めることで、通信運営キャリア間、通信運営キャリアと消費者間の利害関係を調整することも期待される。

通信業界にみられる「行政的独占」は、政府機関によるインフラ整備によりでき上がった独占形態で、中国経済社会の転換過程において、しばしば他業界でも見られる形態だ。ただ、その中でも通信業界は、これが一層顕著であるとされる。

中国の通信業界では、官僚的な活動と私企業としての活動を厳密に区別しないで事業を行うのが一般的で、これにより通信市場が事実上非市場化している。携帯キャリアである中国聯通(チャイナユニコム)の設立当時、通信業界を監督する政府機関であった元の郵電部が採用した、参入業者制限及び電信国有資産の価値維持政策や価値増額要求などの一連の措置が、携帯キャリアの巨人である中国移動(チャイナモバイル)の「一社独占」という状況を生んだことはよく知られている。

また固定通信でも、中国電信(チャイナテレコム)、中国網通(チャイナネットコム)が互いに競争しないとの協議を結ぶことで、結局ブロードバンド料金の値上がりを招いた例もある。、思い返してみれば、すべてが中国電信業界における「行政的独占」により引き起こされた事態なのである。