日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏

日本オラクルは11日、同社の「Oracle Fusion Middleware」製品群の中核ともいえるミドルウェア「Oracle WebLogic Server 10g R3」の提供を開始した。WebLogic Serverはもともと旧BEA Systemsから提供されていたJavaベースのアプリケーションサーバ製品。統合後、Oracleブランドの下での初リリースとなる。日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏は「価格、パフォーマンスの優位性もさることながら、オラクル/BEA双方の顧客の資産を守る"ベストオブブリード"構成、そしてOracle Fusion Middlewareとの連携で、他社との圧倒的な差別化を図る」としており、統合後初の中核製品のリリースに大きな自信を見せる。

Oracle WebLogic Server 10g R3の特徴は、大きく以下の3つになる。

モジュールによる最適化

オープン規格(OSGi)に基づき、各機能をモジュール化して統合。さまざまなオラクル製品の機能も、モジュール化することで特定なものだけ追加/削除したり、個別にバッチ管理することが可能。グリッド環境においても動的なノード管理がしやすくなる。

パフォーマンス

前バージョンの10.0に比較して、サーバパフォーマンスが約20%向上。

コンポーネント化されたリッチクライアント

Ajax対応リッチクライアント「ADF RichClient」を搭載しており、コンポーネントを追加するだけで簡単にAjax対応のUIを設計/開発できる。

とくに重要なのは、各機能をモジュール化して個別管理できる点だ。三澤氏は「オラクルはこれまで、データベースにおけるグリッドアプローチを成功させてきた。今度はアプリケーションサーバでもグリッドの効果を示すとき」と強調する。グリッドアプローチによるインフラ部分の共有化は、オラクルがコスト最適化という視点からつねに提唱しているポイントのひとつだが、アプリケーションサーバ上における動的リソース管理が実現すれば、複数サーバ間でのデータ共有、さらに規模に応じた拡張が可能になる。つまり必要な部分に必要なだけのリソースを割り当てることが可能になるので「遊休リソースを大幅に低減でき、ビジネスチャンスの損失を防ぐ」(三澤氏)ことにつながるというわけだ。またWebLogic Serverは、WebSphereやJBossなど他社/オープンソースベースの環境との親和性が高い点も、アプリケーションサーバのグリッド化を促進しやすい特徴のひとつとなっている。

さまざまな機能を細かなモジュールにしたことで、サーバの軽量化が図れる。スモールスタートで始め、規模に応じて拡張することも容易に

必要なときに必要なリソースを動的に割り当てることで、ITコストの無駄を省き、ビジネスチャンスの損失を防ぐことが可能になる

WebLogic Serverは、すでにエンタープライズ市場で一定の高い評価を得ている製品。これを改めてOracleブランドの中核ミドルウェアとしてリリースしたことも今回の発表の狙いのひとつだろう。「Standard Edition」「Enterprise Edition」、そして独自のガベージコレクション機能をもつJavaVM「Oracle JRockit Real Time」を含む「WebLogic Suite」の3つのエディションが用意されており、BEA時代に比較すると価格も大幅に値下げしての提供となる。

BEA時代に比べ、大幅なプライスダウンが図られたWebLogic Server 10g R3。「オラクルもちゃんと値下げします(笑)」と三澤常務