アイログは10月17日、サプライチェーン全体での在庫最適化を行う「ILOG Inventory Analyst 7.0」と、在庫・物流・サービス要求のトレードオフから最適な物流ルートを算出する「ILOG Product Flow Optimizer 7.0」を発表、同日発売した。いずれも、元々は2007年2月に同社が買収したLOGIC TOOLSの製品だったもので、アイログとしては今年6月の「ILOG Plant PowerOps」、7月の「ILOG LogicNet Plus 6.0 XE」に続く国内でのサプライチェーン・アプリケーション製品となる。同社は今年4月にサプライチェーン・アプリケーション事業の開始を発表しているが、その際に公表されていた投入予定製品は今回の発表ですべて揃ったことになる。Inventory Analyst/Product Flow Optimizerのいずれも、Windows 2000 Server/Windows 2003 Serverに対応するサーバ版と、Windows 2000 Professional/Windows XP Professionalに対応するデスクトップ版が用意され、ライセンス価格はそれぞれ1,370万円から。初年度は5社での導入を目標として掲げる。

アイログのサプライチェーンアプリケーション群

アイログ 代表取締役ゼネラルマネージャー 和多田茂氏

概要説明を行った同社の代表取締役ゼネラルマネージャーの和多田茂氏は両製品を「戦術レベルで、主に月単位で見直される在庫/製品フローの最適化を行う製品」と位置づけ、こうした製品が求められる主な理由として、「顧客からの注文に対して在庫切れを起こすリスクと大量の在庫を抱えるコストのバランスを最適化する」ことを挙げた。同氏が紹介した自動車部品メーカーでの事例では、Inventory Analystによって戦略的な在庫の持ち方を最適化した結果、在庫の配分が変わり、在庫回転率は採用前の3.0から4.6に向上したという。

事例として紹介された某自動車部品メーカの例。在庫回転率が大幅にアップし、諸コストが削減されたのがわかる

Inventory Analystは、工場や配送拠点などで持つ在庫について、拠点単位ではなく、サプライチェーン全体を通じた最適化を行う戦略的な側面と、各拠点ごとに配置すべき安全在庫量を算出する戦術的な側面を兼ね備えたツールで、同社が得意とする最適化技術である"ILOG CPLEX"をベースに構築されている。Webインタフェースを用意するほか、Microsoft Excel/Accessとの連携も実現しており、データの入力や編集をExcelを使って迅速に行うことが可能。ERPなどの既存システムと連携することもできる。

Product Flow Optimizerは、在庫と物流にかかるコストとサービス要求のトレードオフを最適化し、最適な物流ルートを決定するツール。グローバルなサプライチェーンを展開する企業では、顧客に製品を届けるルートが複数存在し、同時に製品毎に異なるSKU(在庫管理単位)を取り扱う必要がある。Product Flow Optimizerはこうした複雑な条件を最適化し、製品をユーザーに届ける際の最適なルートを決定する。利用可能な全ルートをリストアップした上で最適なルートを選び出すことが可能。さらに、ルートを最適化することで拠点の再編成や合理化の効果をシミュレーションすることもできる。

和多田氏は、両製品を活用することで在庫管理に関わるコスト削減が実現することに加え、配送効率の向上に伴ってCO2の排出量削減も期待できるとした。なお、国内での主な対象ユーザーは自動車/ハイテク等の製造業や物流、流通/小売業などで、パートナー企業を通じビジネス・コンサルティングなどを含んだトータルSCMソリューションとして提供する。