Mozilla Labs Blogにおいて興味深いドキュメントがアップされている。Aza Raskin氏によってアップされたNext Generation Javascriptingだ。ブログの内容自体は、古いPCではディスプレイに線を描画するなんてのは簡単な命令でできたものだ、という話に触れてから、JavaScriptで開発された次の3つの実験的取り組みを紹介するもの。

  • Processing.js - Java Processingを移植したもの。画像やアニメーション、インタラクションをプログラムする言語と環境
  • Atul Varma with Parchment - JavaScriptベースのZ-Machineインタプリタ
  • ContextFree.js - トリック画像を描画するためのJavaScriptプログラム

これらも興味深いが、むしろ背景にあるJavaScriptの発展でふれている技術の方が興味深い。説明の過程で紹介されている4つの技術は次のとおり。

  • Tamarin - AdobeからMozillaへ寄贈されたJavaScript実装。高速なエンジン技術を実装している
  • SquirrelFish - WebKitの新JavaScriptエンジン。SafariのJavaScript処理が大幅に向上するとみられる
  • Objective-J - JavaScriptを使ってObjective Cの開発を可能にする言語。Cocoaの移植もあり
  • Sprout Core - Cocoa類似のRIA WebアプリケーションJavaScriptフレームワーク

TamarinはFirefox 4のJavaScript実行パフォーマンスをさらに引き上げ、SquirrelFishはSafariのJavaScript実行パフォーマンスを大幅に引き上げることになるとみられる。JavaScriptで開発されたWebアプリケーションを実用的な速度で動作させるために欠かせない技術だ。

Objective-JもSprout CoreもともにMac OS XのCocoaに触発されたフレームワークで、Cocoaと同様のフレームワークを使ってWebアプリケーションの開発を可能にする。効率的なWebアプリケーション開発の一翼をになう技術になる可能性が高い。SquirrelFish、Objective-J、Sprout Coreが3つともAppleに関連した技術、またはAppleの技術に触発された開発された技術であることも見逃せないポイントだ。

Objective-Jはまだ公開されていないが、すでに公開されている280 Slidesを試してみるかぎりではかなり期待できるものに仕上がっているのではないかと期待させる。今後の展開が楽しみなプロダクトだ。