マイクロソフトは、SaaS(Software as a Service)型ビジネスへの参入を目指す企業を支援する「マイクロソフト SaaS インキュベーション センター プログラム」を開始した。このプログラムでは、ビジネスモデル構築、販売方法の転換、価格やサービスの検討など、SaaS型ビジネスに着手する場合の課題について、SaaSインキュベーション センターに協力する同社と提携したパートナーがさまざまな支援を行う。

このプログラムの開始にあたり同社は、KDDI、富士通、GMOホスティング&セキュリティ、NTTPCコミュニケーションズの4社と提携、これらパートナー各社に対し、SaaS型ビジネス移行についてのコンサルテーションに必要となる各種トレーニング、共有型Windows Server環境を実現するソリューション「Microsoft Solution for Windows Based Hosting」を提供するほか、広報活動、共同マーケティングなどを担う。トレーニングを受講したパートナー各社は、SaaS型ビジネスに参入する企業各社がソフトウェア製品やサービスをSaaS型で提供する際の検証環境、商用ホスティング環境を提供する。

同プログラムでは、まず事業化検討に必要な情報の提供を目的とした2つのセミナーを用意している。BDS (Business Development Session)では、既存のパッケージ製品とのすみ分け、価格付け、マーケティングなど、実際にビジネスを遂行する場合の留意点や課題への対処などを扱う。ADS (Architecture Design Session)では、共有型環境でのソフトウェア開発を支援する。

SaaS事業参入を目指すISVを、ビジネス、技術両面で支援

パートナーがSaaS事業者育成の主体となる

検証環境としては、ソフトウェア企業がソフトウェアを検証、評価できる共有型のWindows Server環境を提供、最終的には、商用化サービス開始までを支援、SaaS対応したソフトウェアを販売するためのスキームを提供する。また、希望するソフトウェア企業には、個別コンサルテーションサービスも行う。今回のプログラムに参加する4社は、準備が整い次第これらサービスの提供を開始する予定で、4月頃には出揃う模様だ。

パートナーがプログラムの主体を担う

マイクロソフト 業務執行役員 通信・メディアインダストリー統括本部長の山賀裕二氏

同社の業務執行役員 通信・メディアインダストリー統括本部長の山賀裕二氏は「ソフトを開発、販売する企業、いわゆるISV(Independent Software Vendor)は、SaaS市場に新たなビジネスチャンスを求めているが、一方でビジネスモデルが変わり、必要となる技術も変化しているためリスクも存在している。ISVがこの市場に参入しやすくするよう支援していくことがこのプログラムの趣旨だ」と話す。同社はこのモデルをすでに欧州で先行させており、アジア、太平洋地域では初めての試みとなる。「ビジネス、技術双方の点で、支援に必要な要素をパートナーに委ね、各社それぞれのフレームワークに沿ったSaaS事業にプログラムを位置づけてもらい、独自の付加価値を盛り込んで支援してもらう」(山賀氏)。すでに同社は2007年6月にKDDIとSaaS事業で包括提携しており、12月にはパートナー支援プログラム「Business Port Support Program」を開始。エヌジェーケー、エンタシス、オービックビジネスコンサルタント(OBC)、GCT研究所、ソフトブレーン、ピー・シー・エーの6社が協業パートナーに決まったことが発表された。

今回、マイクロソフトと提携して、「マイクロソフト SaaS インキュベーション センター プログラム」の主体となるパートナー各社発言は以下の通り。

KDDI ソリューション事業統括本部 戦略企画部長の桑原康明氏

「ITと通信の融合化が進み、アプリケーションと通信を組み合わせ、ワンストップで提供できるサービスは両者の相性が良く、立ち上がりやすい。当社はすでに昨年からSaaS事業の展開でマイクロソフトと提携しているが、今回のプログラムのフレームワークを活用して、さらにISV支援を進めていきたい」

富士通 サービスビジネス本部 プロジェクト統括部長の有馬啓修氏

「SaaSのプラットフォ-ムを提供して、Windows系の基盤構築など技術的な面で、今回のプログラムを活用して、ISVを支援していきたい。富士通だけでSaaS領域を拡大するのは困難であり、当社だけでなくマイクロソフトをはじめパートナーと協力しながら、国内でSaaS市場を広げていきたい」

GMOホスティング&セキュリティ社長 青山満氏

「これまで12年間で14万件のホスティングサービスを手がけてきた。ここで培った経験を活かし、ISVのSaaS事業への参入を支援していきたい。また、当社はビリングやセキュリティのサービスをしているとともに、5,000件の販売パートナー網があり、参入後のビジネスも支援できる。当社だけでなく、ISV、その顧客のすべてが成功できるようにしたい」

NTTPCコミュニケーションズ サービスサポート本部長 細川雅由氏

「これまで展開してきた、企業向けネットワークサービスやサーバ系のホスティングを組み合わせ、ISVと連携してSaaS事業をやっていけると考えている。今後は、ISVが早くSaaSを事業化できるよう、共通基盤の構築やWindowsベースのホスティングサービスを拡充していく」

左から、KDDI ソリューション事業統括本部 戦略企画部長の桑原康明氏、 富士通 サービスビジネス本部 プロジェクト統括部長の有馬啓修氏、マイクロソ フト 業務執行役員 通信・メディアインダストリー統括本部長の山賀裕二氏、 GMOホスティング&セキュリティ社長 青山満氏、NTTPCコミュニケーションズ サー ビスサポート本部長 細川雅由氏