米Tektronixの日本法人である日本テクトロニクスは、ミッドレンジクラスのリアルタイムスペクトラムアナライザの新製品を発売した。新製品は「RSA3000B」シリーズとなる「RSA3303B」「(同)3308B」「(同)3408B」の3機種。ハイエンドクラスの製品(RSA3000Aシリーズ)のみが搭載していた、信号の時間変化を表示する「DPX」機能を備えている。RFIDやBluetooth、携帯電話など、無線通信システムのテストなどに利用できる。

リアルタイムスペクトラムアナライザ「RSA3408B」 - RFIDの通信状態を計測しているようす(動画:MOV形式)はこちらから

スペクトラムアナライザ(以下、スペアナ)といえば、「掃引式」のものが一般的である。掃引式の場合、測定する全帯域を一度に計測するのではなく、計測範囲をいくつかの帯域に分けて計測し、それらを合わせた結果を表示する。

一方、本製品の場合は全帯域を一度に計測する。そのため、掃引式に比べて数百倍のスペクトラム処理が可能という。スペクトラムはオシロスコープのようにトリガを掛け、重ねて画面に表示する。このとき、1秒間に約4万8,000回のスペクトラムの表示が可能。またスペクトラムの時間的な変化や出現頻度は、「DPX」機能(リアルタイムRF表示機能)により「色」で表現される。そのため、掃引式では難しかった突発的に起きる小さなノイズの検出が可能。さらに、RFの周波数ホッピングやバースト転送のようすなども目視できる。

「RSA3000B」シリーズの画面のようす - 複数のRFIDシステムが近接している状態を計測したもの

「RSA3303B」の周波数範囲はDC~3GHz、「RSA3308B」はDC~8GHz。両機種とも取り込み帯域は15MHz、SFDR(スプリアスフリーダイナミックレンジ)は70dB。また、「RSA3408B」の周波数範囲はDC~8GHz、取り込み帯域は36MHz、SFDRは73d。最小価格(税別)は「RSA3303B」が422万8,000円、「RSA3308B」が513万8,000円、「RSA3408B」が693万8,000円。いずれも3年間の製品保証を含んでいる。