マイクロソフトは、会計管理、生産管理、人事管理など各種基幹業務を統合したERP製品「Microsoft Dynamics AX 4.0」日本語版(以下、Dynamics AX)の販売を開始、日本市場でのERP分野に本格参入した。エンドユーザーの状況に応じたカスタマイズ機能と、Microsoft Office製品群などの広く普及しているアプリケーションを操作環境にできることなどを切り口に、国内での浸透を狙う。製品は、会計管理、生産管理からCRMまでが含まれる「Microsoft Dynamics AX 4.0 Advanced Management Edition 日本語版」と、会計管理の基本機能を搭載した「Microsoft Dynamics AX 4.0 Business Essentials Edition 日本語版」の2つが用意される。

マイクロソフト社長 ダレン・ヒューストン氏

同社のダレン・ヒューストン社長は「日本は他国よりさまざまな点で進んでいるが、デジタルワークスタイルでは、あまり効率化が進んでいなかった」と指摘、国内での、ITを活用した業務環境「デジタルワークスタイル」を変革する切り札として「Dynamics AX」を位置づけ、「革新のパズルの最後のピースである""Dynamics AX"を投入することができた」と話す。

同社ではDynamics AXの大きな特徴として、「Microsoft .NET」を機軸にしたカスタマイズが可能で、ERP側がユーザー個人の嗜好や業務に柔軟に対応できる点を挙げ、「Dynamics AXは業務をシステムにあわせるのではなく、システムが業務にあわせる」(ヒューストン社長)ものであるとして、企業内のエンドユーザーの属性に応じた機能を提供する。経営者層には、情報の一元管理により、売上にまつわる多様なデータを多角的に捉え、経営判断の材料を提示する。ERP活用の最前線では、操作環境のカスタマイズを柔軟に実行できる。ERPを直接的には使わない部門では、Office製品との連携機能を強めている。

さらに、今回の製品では、グローバルなビジネス環境での利用をしやすくする点にさらに重点が置かれ、40カ国で使用される36以上の言語をサポートするとともに、ユーザーごとに使用する言語を簡単に変換でき、システムを大きく修正することなく「使いなれた言語で業務を行うことが可能」(同社)だという。

また、米Microsoftで「Dynamics AX」を担当する、ジェフ・マッキー ディレクターは、Dynamics AXが、導入、システム構成、修正などを容易にできることを強調「TCO(Total Cost of Ownership: システムの導入、維持/管理などの総コスト)削減の観点からも利点がある。従来のERPは維持/管理のためのコストが大きかった。Dynamics AXは、これらのコストを相当減らせる」と説明、「製造業、流通業、政府機関などに強く推進していきたい」としている。

「Dynamics AX」が国内で照準をあわせている市場は「基本的に2つ」(マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部の宗像淳統括本部長)ある。売上高が50 - 500億円の中堅企業向けの基幹システムとともに、同じく500億円以上の大手企業向けに、子会社、部門システムの業務アプリケーションなどの用途だ。宗像統括本部長は「日本では、パ-トナーの資産、アプリケーションを"Dynamics AX"と連携させて市場に入っていきたい」と語る。

Office製品との違和感のないインタフェース

2010年までの製品計画が示された

今回、NEC、大塚商会、日立製作所、オービックビジネスコンサルタント、オムロン ソフトウェア、シャープシステムプロダクト、東芝情報システム、日本ビジネスコンピューター、三井情報など16社がパートナーとして協力することを表明、Dynamics AXに対応したアプリケーションや業界、業種に特化したソリューション、サービスを提供する。NECの幸田好和 製造・装置ソリューション事業本部長は「ITネットワークでのソリューション連携をマイクロソフトといっしょにやっていきたい」と話し、新たなビジネスチャンスに期待している。

Dynamics AXは、130カ国以上の国/地域で販売されており、顧客数は7,500に上っているという。しかし、日本市場では後発であり、とくに「パートナーとの協力関係」(宗像統括本部長)を重視した戦略を採る。「他社製品をダイレクトにリプレースしようというのではなく、パートナーの製品を補完する位置づけ」(同)などをまず端緒としていくほか「まだ、かなり残っている手組み(のシステム)中心の市場」(同)の開拓も視野にある。また、「他のマイクロソフト製品との親和性や拡張性に価値を見出すユーザーも多くいる」(同)と考えている。

世界各地でERPを展開しているマイクロソフトにとって、日本はERPの「最後の市場」(ヒューストン社長)であり、SAPや日本オラクルをはじめ、強力な競合が存在する。「マイクロソフトがこの分野ビジネスを手がけていることをあまり知られていない」(同)状況であり、認知度の向上をまず図ることが「マイクロソフトの課題」(同)とみている。ヒューストン社長は「技術がビジネスに成功をもたらすのではなく、人々が成功をもたらす」と繰り返し強調、パートナーとの協業も含め「人」に焦点を当てた施策で「激戦区」に挑む。

左から、マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長 NECの幸田好和製造・装置ソリューション事業本部長、米マイクロソフトのジェフ・マッキーMicrosoft Dynamics AX製品ディレクター、マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部の宗像淳統括本部長