上野東京ラインが3月14日に開業する。東北本線の駅と東海道本線の駅を、都心を通過するように利用する場合、上野東京ラインと湘南新宿ラインはどちらが早く着くだろう?

宇都宮線(東北本線)E233系。上野東京ライン開業で東海道線への直通運転がスタート

湘南新宿ラインE231系。新宿駅・渋谷駅などを経由して横浜方面へ

上野東京ラインの時刻表については、2014年12月19日にJR東日本が概要を発表している。2015年3月ダイヤ改正の報道発表資料として添付されていた。しかしこれは概要のみ。掲載区間は始発駅と終着駅、途中の駅は上野駅・東京駅・新橋駅・品川駅だ。始発駅と終着駅は湘南新宿ラインと共通している。ここからどちらの列車が速いかを見極めようとした。

ところが、これがうまくいかない。始発駅と終着駅が一致する列車が少ない。さらに、東北本線内と東海道本線内で普通列車だったり快速列車だったりすると、所要時間の差が経由する駅の違いか、それとも快速列車と普通列車の違いか、わからなくなる。

2月25日にJRグループのダイヤ改正に対応した時刻表(2015年3月号)が発売された。『JR時刻表』『JTB時刻表』ともに上野東京ラインの全列車が掲載されている。ただし掲載方式が異なっていた。

『JR時刻表』の大宮~横浜間で比較した結果…

湘南新宿ラインは上野東京ラインと比べて大回りのルートに

『JR時刻表』は大宮~横浜間を掲載し、それ以外の区間は列車ごとに掲載ページを示している。常磐線については日暮里~品川間に乗り入れる列車のみ掲載した。

『JTB時刻表』は大宮~品川間を掲載し、それ以外の区間は列車ごとに掲載ページを示している。常磐線については取手~日暮里~品川駅の列車を掲載した。

このことから、『JR時刻表』は都心を通過する利用者に便利な掲載方式を選択し、『JTB時刻表』は常磐線利用者を重視したことがうかがえる。常磐線の上野駅折返し列車も掲載されており、乗継ぎに配慮している。同じ大きさ、同じ値段、同じ情報の時刻表だけど、編集方針に違いが現れていて興味深い。

今回は『JR時刻表』で上野東京ラインと湘南新宿ラインを比較してみた。『JR時刻表』は上野東京ラインで大宮~横浜間を表示しているから、湘南新宿ラインと比較しやすい。また、都心から見て横浜駅以遠・大宮駅以遠は快速列車と普通列車で所要時間が変わる。大宮~横浜間だけ比較したほうがわかりやすそうだ。

一番列車を比較してみよう。上野東京ラインの南行は大宮駅5時50分発・横浜駅6時51分着、所要時間は61分。湘南新宿ラインの南行は大宮駅6時7分発・横浜駅7時10分着、所要時間は63分。湘南新宿ラインの始発列車は西大井駅などに停まらない快速だけど、それでも上野東京ラインのほうが2分ほど早く着く。ちなみに北行の始発列車を比較すると、上野東京ラインが横浜駅5時25分発・大宮駅6時25分着で所要時間60分。湘南新宿ラインは横浜駅6時26分発・大宮駅7時29分着の快速で所要時間63分だった。

ラッシュ時間帯はどうだろう? 上野東京ラインの南行のうち、大宮駅7時59分発の列車は横浜駅9時5分着で所要時間66分、湘南新宿ラインの南行は大宮駅7時52分発・横浜駅9時0分着(快速)で、所要時間は68分に伸びた。ちなみに北行のラッシュ時間帯を比較すると、上野東京ラインが横浜駅8時23発・大宮駅9時27分着で所要時間64分。湘南新宿ラインは横浜駅8時22分発、大宮駅9時27分着(普通)で所要時間65分だった。

こうして見ると、両者の差はわずかだった。湘南新宿ラインの所要時間が若干長い理由は、ルートが大回りになっているからだろう。上野東京ラインが一直線だとすると、湘南新宿ラインはやや迂回している。それが所要時間の数字に現れている。しかし、この程度の差なら、どちらでも先に来たほうに乗れば良さそうだ。