作家、西村京太郎といえば『ブルートレイン殺人事件』のヒット以来、時刻表トリックを駆使した鉄道ミステリー小説で人気がある。その西村氏の自宅兼仕事場は神奈川県の湯河原。隣接地に「西村京太郎記念館」もある。鉄道ミステリー作家だけに、館内には鉄道模型パノラマがあり、そこでは「事件」が起きているという……。
4カ所の現場に5人の死体が隠されている
西村京太郎記念館は、JR東日本湯河原駅から2番のりばのバス「奥湯河原」または「不動滝」行きに乗って、「小学校前」バス停で下車、徒歩3分のところ。小川のほとり、緑が多い場所。近くを新幹線の高架線路が通っている。1階は地元の人も訪れそうな明るい喫茶店。展示室は2階にあり、観覧料は2階の展示スペースのみ必要となる。料金は大人500円、中高大学生が300円、小学生は100円。
展示室は西村氏の著書やコレクションが壁に沿って並び、鉄道模型パノラマは部屋の中央に鎮座している。このパノラマで使われている鉄道模型は実物の約1/150の大きさ。線路の幅が9mmのNゲージで、5本の周回線路が交差する。ボタンを押すと、駅に停まっている列車が自動的に走り出し、周回して駅に戻ってくる。これだけでも楽しい。しかし、もっと楽しい仕掛けがある。
パノラマにはこんな説明書きがある。「十津川警部からの挑戦状 殺人現場の死体を探せ」。なんと、この鉄道模型パノラマには、殺人事件現場まで再現されているのだ。事件の現場は4カ所、死体は5体。すべて見つけてもご褒美はないけれど、探さずにはいられない。ヒントはパトカーが停まっている場所。しかし交通事故現場など、「事件」ではない場所にもパトカーがいて観覧者を惑わす。
それでも、倉庫脇にひとつ……、湖にふたつ……。3カ所、4死体までは簡単に見つけられるだろう。ただし5人目の現場は難しい。実は、まだ事件が発覚しておらず、死体だけがひっそり佇んでいる。この記事ではあえて種明かしはしないから、実際に湯河原の現場に行って「捜査」してみよう。