教科書では近畿地方と習った三重県。でも文化的には東海に近いようにも思える。果たして三重県は近畿か東海か? 統計と数字から答えを探してみましょう。
工業やチェーン店は東海系
まずは三重県の特徴的なデータをあげてみると、高校生就職内定率が57.7%で第1位(2009年 全国平均37.6%)、工業生産額が県民ひとりあたり618万円で第2位です(2007年 全国平均264万円)。自動車工業が盛んな東海文化圏ならではの数値です。
仕事があるためか在日外国人も多く、県民100人あたり2.45人で第3位(2011年 全国平均1.63人)。特に在日ブラジル人数は全国2位とブラジル人が多いのが三重県の特徴です。
「伊勢の藤原氏」がルーツのひとつと言われる伊藤さんが多いのも三重県の特徴で、人口1,000人あたり27.72人で2位です(2013年 全国平均8.47人)。もうひとつ、三重県発祥と言えばイオングループで、スーパー、イオンの店舗数が人口10万人あたり1.09軒で全国1位(2013年 全国平均0.33軒)、同グループのスーパー、マックスバリュの店舗数が人口10万人あたり2.57軒で第2位となっています(2010年 全国平均0.47軒)。
三重県人の食生活を見てみると、食事時間は1日あたり94分で45位(2006年 全国平均99分)。ケーキ消費量は年間6,214円で43位(2012年 全国平均6,897円)。アルコール消費量は年間5.44リットルで44位(アルコール換算 2009年 全国平均6.92リットル)と、食事は淡泊にすませる県民性のようです。ただし、松阪牛で有名な牛肉は別格で、年間消費量10,668グラムは全国2位(2006年~2008年 全国平均6845グラム)。
さて、三重県のランキングを東海型・近畿型で見てみると、上記の工業生産系ランキングが高く、在日外国人が多いのは東海系の傾向。店舗系ではエイデン(2011年第2位)やユニー(2010年第3位)、CoCo壱番屋(2013年第3位)、ミニストップ(2013年第1位)、サークルKサンクス(2013年第5位)など東海系の店舗数がたくさんあります。
牛肉・家電好きなのは近畿系
一方、近畿系のランキングと比較してみるとどうでしょう。牛肉消費量は近畿で特に多く、三重を含めると上位7府県中6府県を近畿が占めています。
このほか三重県は、空気清浄機の世帯普及率が39.9%で第2位(2009年 全国平均34.2%)、ドラム式洗濯機の世帯普及率が39.1%で3位(2009年 全国平均34.6%)と新型家電の普及率が高いのも特徴です。なぜ家電?と思われるかもしれませんが、実は近畿は新型家電の普及率が高い家電好き文化圏なのです。三重県で新型家電の普及率が高いのは近畿的な傾向と言えます。
三重県と他都道府県の相関図。滋賀県もだが、愛知県や岐阜県と似ているということは…… |
これらを含めて、700以上のランキングから三重県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤い地域ほど傾向が似ていることを意味しています。これを見ると三重県は岐阜県や愛知県、静岡県といった東海各県との相関が近畿よりも高く、データからは「三重県は東海」と言えそうです。
筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)
統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。