製品設計で3次元CADにより作成されたソリッドデータを金型設計で有効活用されていない場合があります。それは、異機種CAD間でのインポート時の問題やソリッドデータを活用した場合の効果に対する認識が不足しているためと考えられます。SOLIDWORKSには、不正な面やエッジ、微小エッジなどのエンティティチェック機能やインポート診断による自動修正機能などが搭載されています。

万一インポートデータに不具合があった場合でも、容易に形状の修正や追加をすることができます。また、金型設計においては、SOLIDWORKS Plasticsを利用した樹脂流動解析やパーティングラインやパーティングサーフェスの作成、キャビコア分離機能など金型設計に必要な各種機能が搭載されています。

インポートデータの修正

インポートデータをソリッド化できなかった場合、SOLIDWORKSでは問題を解決する次の機能を用意しています。

エンティティチェック

不正な面・不正なエッジ・微小エッジなどをチェックができます。

インポート診断による自動修正

不正な面とすきまを抽出し自動修復します。

手動によるデータ修正

豊富なサーフェス機能から手動修正ができます。

FeatureWorks

インポートデータをSOLIDWORKSのフィーチャに変換できます。

エンティティチェック

インポート診断

フィーチャー認識

樹脂流動解析　SOLIDWORKS Plastics

SOLIDWORKS Plasticsによる樹脂流動解析で、ソリッドデータを使用して製品成形時の金型内の材料の流れを計算し、製品不良を招く問題の有無を検証することができます。

  • 樹脂材料、パーツ形状、ゲート位置、スプルー・ランナー配置を評価します。
  • 充填パターン・ウェルドライン・エアトラップ位置を確認します。
  • 圧力・温度分布や繊維配向の評価ができます。
  • 射出温度・型温度、射出時間などの成形条件をより良好にすることができます。

充填パターンの評価

圧力分布の評価

温度分布の評価

豊富な金型設計機能

抜き勾配解析

モデル面の抜き勾配角度を検証し、成形品に抜き勾配が正しく作成されているかどうか検証できます。

抜き勾配解析

パーティングライン

コアサーフェスとキャビティサーフェスの間のモールド部品のエッジに沿ってパーティングラインを自動生成します。

パーティングライン

パーティングサーフェス

定義済みのパーティングラインを使用して、キャビコアを分割するためのパーティングサーフェスを自動生成します。

パーティングサーフェス

キャビコア分離

作成したパーティングサーフェスと型枠スケッチを使用して、キャビティサーフェス、コアサーフェスからキャビティとコアのソリッドを自動生成することができます。

キャビコア分離

シャットオフサーフェス

穴や開口部などのパーティングラインとして認識していないパーティング箇所に、サーフェス（パッチ）を自動生成します。

SOLIDWORKSによる金型設計の効果

  • SOLIDWORKSはデータ互換に優れ、インポートデータの形状のチェックや修正もすばやく行えます。
  • 樹脂流動解析 SOLIDWORKS Plasticsで充填シミュレーションをすることができます。
  • 抜き勾配分析やパーティングサーフェス、キャビコア分割などさまざまな分析機能や金型設計機能で効率のよい設計ができます。
  • 製品の充填時の射出圧による変形量など、簡単に構造解析を行え、技術者の経験と勘に頼った設計から脱却することができます。
  • 水穴、突き出しピンなどの干渉チェックで設計ミスを削減につながります。

(本稿はCAD Japan.comより提供を受けた記事を編集したものです。)