こんにちは。管理栄養士の大柳珠美です。このコラムでは、忙しいビジネスパーソンでも手軽に実践できる内臓脂肪を減らす食生活情報をお伝えしていきます。
さて、外食やテイクアウトの食事だけで内臓脂肪を減らす食べ方のコツをお伝えしてきた本企画も、いよいよ最終回となりました。砂糖や主食など糖質ばかりを一度に摂り過ぎず、おかずからビタミン、ミネラル等をしっかり確保していく日常のフードスタイルがそろそろ習慣化されてこられた方も多いのではないでしょうか。そこで今回では、出張や旅行の際に楽しめる朝食バイキングメニューの選び方についてご紹介します。
和洋のおかずを多彩にチョイス
ホテルの朝食バイキングには、肉、魚、卵、野菜などいろいろな食材から作られた和洋さまざまな料理が並びます。おかずを選ぶときは、ひとつの食材や味付けに偏らないよう気をつけましょう。たとえば、根菜煮など砂糖やみりんの甘さがきいた和食料理、スクランブルエッグなどオイルのコクがきいた洋風料理など、それぞれの美味しさを上手に組み合わせます。そうすることで糖質の摂り過ぎやエネルギーオーバーの心配を減らせます。前夜の飲み過ぎ、食べ過ぎが気になるときは、主食は控えても良いでしょう。
今回はセラヴィリゾート泉郷が経営する「ホテルアンビエント蓼科」にご協力をいただき、朝食バイキングメニューを提案します。
地元・長野県蓼科の食材にこだわった食事メニューを展開している「ホテルアンビエント蓼科」。メニューに使用される有機野菜やEM有精自然卵はすべて契約農家にて仕入れている |
ホテルの朝食バイキングおすすめメニュー
主食 | おかゆ>白米 クロワッサン>シナモンロール |
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副食(おかず) | 卵料理(洋食)>卵焼き(和食) 海藻サラダ>芋サラダ 温野菜>筑前煮 湯豆腐>煮豆 |
デザート | フルーツ>フルーツドリンク |
主食は何か1つ食べたいものを選びましょう。ごはんはお茶碗、軽く1膳にします。おかゆは水分量が多い分、同じ1膳でも白米に比べて糖質やエネルギー量を抑えられます。パンは、食パンやバターロールの他、シナモンロールやデニッシュパンなど菓子パンが並んでいることもありますが、それらはなるべく避けましょう。菓子パンも砂糖が多く使われ、食後高血糖も心配です。その点、高エネルギーと敬遠されがちなクロワッサンは、生地の大半は砂糖ではなくバターが使用されているため、糖質の量は比較的抑えられます。エネルギーに関しては、おかずで調整すればOKです。調整といっても、たとえばサラダのドレッシングは少なめにするといった程度で結構です。シリアルはオールブランや甘くないものがあれば少なめに盛りつけましょう。砂糖衣やチョコレートがコーティングされたタイプのものは避けてください。
次に副食(おかず)を選びます。おかずで気をつける点は、主食で糖質を確保したときは、サラダや煮物に使われるじゃがいもや里芋は避け、糖質を組み合わせないことです。ポテトサラダや里芋の煮物が食べたいときは、逆に主食の量を減らしましょう。また和食コーナーのメニューは調味料の砂糖やみりんから、見えない糖質を多く含むものもあります。筑前煮や煮豆や佃煮、厚焼き卵などが該当します。野菜をたっぷり食べたいときは、調味料から糖質もたっぷり摂ってしまう和風の煮物ではなく、温野菜がおすすめです。大豆のたんぱく質を確保する場合も、甘い煮豆より湯豆腐の方が食後高血糖を防げます。卵料理は、スクランブルエッグやオムレツには砂糖やみりんが使われることはないので安心です。主食にごはんを選んだときは生卵にしておきましょう。野菜や海藻は、フレッシュサラダや温野菜の他に、大根おろし、青菜の煮浸し、お新香、焼き海苔、みそ汁の具など和食コーナーからも摂れます。その他、ソーセージ、湯豆腐、納豆、焼き魚など、お好みでおかずをプラスし、食事の満足感、満腹感を高めましょう。
最後にデザートですが、ジュースなどをデザートがわりにするのではなく、フルーツを2~3切れを楽しみましょう。また、フルーツは無糖のヨーグルトや牛乳など乳製品と一緒に食べると食後高血糖の防止に役立つとも言われています。飲み物は、紅茶やコーヒー、ほうじ茶などエネルギーの少ないものを選んでください。
大柳珠美のおすすめ献立
バラエティ豊かなメニューからおかずをチョイスして満足感を確保
バターの香りが食欲をそそるやわらかな口当たりのスクランブルエッグは、卵の良質なたんぱく質とエネルギーが摂れます。ケチャップは添えずに食べましょう。海藻サラダはシャキシャキとした歯ごたえを楽しみながらミネラル、食物繊維を確保。ドレッシングは少なめにし、足りない味は塩、こしょうで調整したり、しらす干しのうまみとたんぱく質、塩分をプラスしても良いでしょう。色の濃い緑黄色野菜は、青菜の煮浸しやごま和えなど和食コーナーから確保します。かまぼこやちくわ、さつま揚げといった練り製品は、砂糖が多く使われていますが、好きなものを楽しむ姿勢も大事です。お好きな方は2~3切れ、食べてOKです。その他、焼き海苔や納豆はごはんを添えずに単品で味わいましょう。みそ汁は具沢山によそいます。温かい汁物は、どっしりとした食べごたえをもたらします。
ここまで食べて、まだ足りなければ湯豆腐はいかがでしょう。薬味のおかかやねぎをたっぷりトッピングします。そして食後にグレープフルーツやいちごなど甘くないフルーツを1~2切れ、紅茶(砂糖・ミルクなし)と一緒に楽しんでください。
さて、11回にわたってお届けした「メタボリック・シンドローム撃退! 食べながら内臓脂肪を減らす外食ガイド」、いかがでしたでしょうか? メタボリック・シンドロームに悩む方は、エネルギー、脂質、糖質などの栄養素以外にもうま味や酸味などの味わいや噛みごたえある食感、そして何より食べ物を美味しいと思う気持ちなどを上手に組み合わせながら、楽しく内臓脂肪を減らしていっていただければと思います。そして、この連載が皆さんにとって、食生活の改善を心がけるきっかけとなることを願っております。
(撮影:福田栄美子)