【連載】

機械の目が見たセカイ -コンピュータビジョンがつくるミライ

17 視線計測(1) - 導入編

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今回は、人間の視線の計測について紹介したいと思います。視線の動きで、コンピュータを操作することも可能です。また、視線を計測することで、人間が注目しているものや集中度合いなどを推定することができるでしょう。

人間の目はどういう動きをするの?

衝動性眼球運動(Saccade)

衝動性眼球運動は、本を読んでいるときや、物を探しているときなどに生じる急速な眼球運動です。

滑動性眼球運動(Smooth pursuit)

滑動性眼球運動は、ゆっくり動く視覚対象物の網膜像を網膜中心付近に維持するように、その動きに合わせて視線を滑らかに動かす目の動きです。

輻輳開散運動(Vergence)

近くを見るときに両眼が寄る動きを輻輳といい、逆に遠くを見るときに両眼が離れることを開散といいます。

その他の目の動き

その他にも網膜像のぶれを抑えるための、前庭動眼反射(Vestibulo-Ocular Reflex)、視運動性眼球運動(Optokinetic Response)、回旋性眼球運動(cycloduction)などがあります。

視線計測の製品

Tobii

視線計測では、Tobiiの製品が有名です。動画1のようにディスプレイに取り付けられたEye Trackerにより、ディスプレイの前に座っている人の視線を計測することができます。応用としては、たとえば、キーボードやマウスに加え、人間の視線を用いてPCを操作することが可能です。

Tobiiは、グラス型のEye Trackerも製品化しています。机の前だけでなく、より広域での視線を計測することができます。たとえば、自動車の運転中にどのような目の動きが生じていたかを分析することができます。また、店舗内で棚のどの商品がより注目されていたかなどを分析し、その情報をマーケティングに生かすことができます。

<動画1 Tobii 固定型Eye Tracker>

<動画2 Tobii メガネ型Eye Tracker>

Pupil Labs

Tobiiの製品は非常に高価なものでしたが、ベンチャー企業がより安価なEye Trackerを製品化してきています。動画3のPupil Labsのメガネ型Eye Trackerは、1000ユーロちょっとで購入することができます。Eye Trackingの製品が普及し、大量生産が可能になるのであれば、さらに値段を下げることは可能なはずです。

<動画3 Pupil Labs メガネ型Eye Tracker>

「目は口ほどにものを言う」という諺にあるように、目の動きは人間の内なる感情、思考を反映しているものです。好意を持っている異性と話すときは無意識のうちにアイコンタクトが増えるといわれています。嘘をついているとき、動揺しているときも目の動きに何かしら変化が生じるはずです。興味のある方は、Googleなどで詳しく調べてみてください。

著者プロフィール

樋口未来(ひぐち・みらい)
日立製作所 日立研究所に入社後、自動車向けステレオカメラ、監視カメラの研究開発に従事。2011年から1年間、米国カーネギーメロン大学にて客員研究員としてカメラキャリブレーション技術の研究に携わる。

現在は、日立製作所を退職し、東京大学大学院博士課程に在学中。一人称視点映像(First-person vision, Egocentric vision)の解析に関する研究を行っている。具体的には、頭部に装着したカメラで撮影した一人称視点映像を用いて、人と人のインタラクション時の非言語コミュニケーション(うなずき等)を観測し、機械学習の枠組みでカメラ装着者がどのような人物かを推定する技術の研究に取り組んでいる。また、大学院での研究の傍ら、フリーランスとしてコンピュータビジョン技術の研究開発に従事している。

専門:コンピュータビジョン、機械学習

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インデックス

連載目次
第44回 ディープラーニングの基礎(3) - 回帰・2クラス分類・多クラス分類の出力層
第43回 ディープラーニングの基礎(2) - 活性化関数
第42回 ディープラーニングの基礎(1) - ニューラルネットワークとは
第41回 領域分割(4) – CNNによるSemantic Image Segmentation
第40回 ハードウェアの基礎知識(4) - GPGPU
第39回 ハードウェアの基礎知識(3) - レンズ
第38回 ハードウェアの基礎知識 (2) - 電子シャッター
第37回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(3)
第36回 領域分割(3) - CRFを用いたSemantic Image Segmentation
第35回 領域分割(2) - Mean Shift法を用いたImage Segmentation
第34回 領域分割(1) - 概要編
第33回 見えないものを観る(3) - 目に見えない光「赤外線」を観る
第32回 見えないものを観る(2) - 絵画の下書きを観る
第31回 見えないものを観る(1) - 映像から音を復元する
第30回 動く人・物を追跡する(4) - OpenCVのトラッキング手法(後編)
第29回 動く人・物を追跡する(3) - OpenCVのトラッキング手法(中編)
第28回 動く人・物を追跡する(2) - OpenCVのトラッキング手法(前編)
第27回 動く人・物を追跡する(1) - OpenCVによるトラッキング
第26回 インターネット上の画像群からTime-lapse映像を自動生成する手法の概要
第25回 一人称視点(3) - Social Saliency
第24回 一人称視点(2) - Social Interaction
第23回 一人称視点(1) - 概要
第22回 行動認識(3) - Two-stream ConvNets
第21回 行動認識(2) - 動きの特徴量(HOF、MBH)
第20回 行動認識(1) - Dense Trajectories
第19回 視線計測(3) - カメラのみを用いた視線計測
第18回 視線計測(2) - 近赤外の点光源を用いた視線計測
第17回 視線計測(1) - 導入編
第16回 コンピュータビジョン分野における機械学習(4) - Deep Learning
第15回 コンピュータビジョン分野における機械学習(3) - 識別器
第14回 コンピュータビジョン分野における機械学習(2) - 顔検出・人検出
第13回 コンピュータビジョン分野における機械学習(1) - 導入編
第12回 コンピュータビジョン分野の市場分析(1) - 自動車編
第11回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(2)
第10回 カメラを用いた3次元計測(4) - Structure from Motion
第9回 カメラを用いた3次元計測(3) - サブピクセル推定
第8回 カメラを用いた3次元計測(2) - ステレオカメラ
第7回 コンピュータビジョン分野で活躍する企業・フリーランサー インタビュー(1)
第6回 カメラを用いた3次元計測(1)
第5回 意外と知らないカメラキャリブレーション
第4回 ハードウェアの基礎知識
第3回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(後編)
第2回 コンピュータビジョンの要素技術と応用範囲(前編)
第1回 普及期に入ったコンピュータビジョン

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