鉛蓄電池のバッテリ状態をモニターするユニット「LifeWINK」をパナソニックが2012年秋に発売したが、同社はこのほど、この状況をスマートフォン(スマホ)で可視化するためのハードウェア(図1)を新たに発売した。

図1 バッテリに取り付けられた「LifeWINKベースユニット」(左)と、可視化するための「LifeWINK車内モニター」(右)

これまでのバッテリモニター「LifeWINK」はエンジンルームのバッテリに取り付けて使用するものであった。クルマのボンネットを開けて、「LifeWINK」に表示されている「要交換」、「良好」の指示とその間の状態を目で見る必要があった。しかし、ドライバーの多くはボンネットを開けて、バッテリの状態をいちいちチェックをすることはない。そのため商品の対象はディーラーやカー用品店など向けだった。

今回の商品は、バッテリに取り付ける「LifeWINK」からの信号を、車内のモニターに取り付けて使う。そこで従来の商品を「LifeWINKベースユニット」と命名し直し、今回発売するユニットを「LifeWINK車内モニター」と名付けた。この「LifeWINK車内モニター」は、煙草の火をつけるアクセサリソケットに差し込んで使う。

この車内モニターとスマホをUSBケーブルでつなぎ、専用のアプリを立ち上げると、スマホを通して、「LifeWINKベースユニット」に記録されている平均運転時間や、エンジン始動回数、取り付けた後からの劣化状態などを表示してくれる。

図2の左画面では、充電不足と要交換を示しているが、そこで、「お車乗り方診断」をタッチすると、図2右の画面を表示する。ここでは、「バッテリー使用期間4年2ヶ月」と示されており、「平均運転時間/月が7時間/月」、「エンジン始動回数/月が36回/月」、「1回あたりの運転時間が11分30秒」なども表示されている。このことから短時間しかクルマに乗らないため、バッテリが十分に充電されていないことがわかる。

図2 スマホのアプリをインストールすることでバッテリ状態を可視化できる

さらに、図2の右のデータとして、例えば、エンジン始動時間/月の場所をタッチすると、エンジン始動性能の推移を表示する。このようにして、運転状況の履歴がわかり、バッテリを長持ちさせるための運転のコツを知ることができるようになる。

この専用アプリは無料で、Androidスマホに対応しており、iPhone用のアプリは開発中だとしている。Androidアプリは2013年7月に公開される予定である。

スマホを持っていないドライバーに対しては、「LifeWINK車内モニター」に取り付けられた赤、黄、緑のLEDでバッテリ状態を表示する(図3)。ただし、赤色LEDだけは2個付いている。例えば、良好であれば緑色のLEDが5秒間点滅する。注意なら黄色のLEDが5秒間点滅、要交換だと赤色1のLEDがやはり5秒間点滅する。また、充電不足の場合は赤色2のLEDが5秒間点滅、車両異常の場合は5秒間点灯する。

図3 バッテリの状態をLEDで表示する

なお、充電不足は、ヘッドライトの消し忘れなどのように単に放電が続き、再度充電し直すならバッテリが使える状態を指す。この状態では、バッテリを交換する必要がない。

この「LifeWINK車内モニター」のUSB端子はUSBケーブルをスマホとつなぐだけで充電にも使える。

バッテリの寿命は、「LifeWINKベースユニット」を新品のバッテリに取り付けた時のエンジン始動電圧を記憶しておき、その電圧を基準として常時モニターし、電圧劣化がある下限値よりも下回った時を寿命としている。

「LifeWINKベースユニット」から「LifeWINK車内モニター」へのデータは、12V電源を利用した、電力線通信で送っている。この通信規格は標準的なものだとしているが、詳細は非公表としている。ただし、「LifeWINK車内モニター」の価格は2500円、「LifeWINKベースユニット」は2000円であることから、複雑な通信方式は採っていないだろうと想像できる。

なお、7月から充電容量の大きなハイエンドモデル用の鉛バッテリ「caos」(図4)と、軽自動車・コンパクトカー向けバッテリ「circula Kei」(図5)に、「LifeWINKベースユニット」を同梱するモデルを発売する。それぞれバッテリ容量は従来比で数十%増大しているという。

図4 ハイエンド車種向けのバッテリ「caos」にLifeWINKが同梱される

図5 軽自動車・コンパクトカー向けバッテリ「circula Kei」にもLifeWINKが同梱

ハイエンド車種向けのバッテリ「caos」とLifeWINKはカー用品店向けに、軽自動車向けの「circula Kei」は修理工場やディーラー向けに出荷する。軽自動車のドライバーの7割が女性であり、自分でクルマをメンテナンスしない客層といえるからだ。