【連載】
女性に「僕はアナログが好きなんだ」とか、若者に「やっぱアナログだよな」とか言っても、「何? オヤジみたいなこと言って!」と思われ、時代錯誤だとかオタクだとか、今風の言い方だと「レガシー(過去の遺物)な人」だとか、思いもよらぬレッテルを貼られる危険があります。
ところが、女性や若者から"レガシー"と呼ばれてしまうような"アナログ"は、電子回路技術においては、それがまったく逆であることが事実なのです。
現代の電子回路技術では、アナログは最先端の技術です。たしかに古くからアナログ回路技術を用いてラジオ、テレビ、ステレオなどいろいろな電子製品が実用化されてきました。一度レガシーになったかと思われるこのアナログ回路技術が、図1-1-2のような領域であらためて見直されてきています。一番大きな理由は電子回路のハイスピード(高速)化です。従来の単に1/0のデジタル信号でさえも、図1-1-3のようにハイスピード化により、1から0、0から1に変化する間隔(周期)が速いため、一定の変化時間では周期に対して「鈍って(なまって)」見えてしまい、その結果、変化途中をアナログ信号的に考える必要が出てきています。
現代の電子回路はデジタル回路がかなり多く用いられてはいますが、それこそ10年前のデジタル回路設計とはその設計技法は大きく変わってきています。先に挙げたように、そのほとんどの設計でハイスピード化が進んでいます。例えば皆さんが当たり前のように使っているパソコンの動作クロックはGHzオーダで動作していますし、イーサネットやUSBなどのデジタル通信も数百bpsからGbpsと、とても高速に動作しています(実際は一部多重化のような細工もされていますが)。
つまり図1-1-3に挙げたように、デジタル回路といえどもその高速な信号の振る舞いはアナログ回路的と言い切ることができるでしょう。現代のデジタル回路設計においても、アナログ回路の技術を、回路設計のための知識として知ることは、電子回路を問題なく動作させたり、トラブルを解決するためにどうしても必要なことです。
この連載では次回以降、アナログ電子回路の基礎的な考え方、実際の試作実験によるデモンストレーションなどに進めていきます。
さすがに基礎的な話が中心な連載なので「現代の最先端のアナログ電子回路」に対応できる力までは今回の連載だけではつきませんが、そうした将来に向け、まずはアナログの世界を理解する第一歩として、アナログ電子回路のフィールドに足を踏み込んでみましょう!
著者:石井聡
アナログ・デバイセズ
セントラル・アプリケーションズ
アプリケーション・エンジニア
工学博士 技術士(電気電子部門)
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