都内でコロナウイルス感染者数が急増していた頃、勤めていたクラブに出勤できなくなり、一時期、西武池袋線沿線のとある駅から徒歩約30秒の某キャバクラにこっそり在籍していたことがあります。
某キャバクラは1セット/40分 4,000円+TAX&サービス料の格安店で、コロナ禍の真っただ中でしたが、かなり繁盛しているお店でした。しかし、そこで出会った男性は、銀座のクラブで出会う男性とは明らかに異なるタイプの方々でした。
今回は「1セット4,000円のキャバクラに通う男性と、銀座のクラブに通う男性の違い」について解説します。
いわゆる“ガチ恋”系のお客様が多い
1セット4,000円のキャバクラだからといって、お金のない方ばかりが通っているかと言えば、そういうわけでもありません。中には連日通ってどんちゃん騒ぎをしているおじさまもいらっしゃいます。
割と安価なシャンパンとして親しまれているモエ・エ・シャンドン(キャバクラで飲むとしても2万円前後)1本でお代官様待遇でもてなしてもらえるため、「お山の大将」的な遊び方もできます。
何かとストレスの多い昨今ですから、こういった場に居心地の良さを感じる方がいらっしゃるのも頷けます。
一方、銀座にも2万円前後で遊べるカジュアルなお店はありますし、最近では若い男性の団体が居酒屋でお酒を飲むような感覚で大騒ぎしていることも少なくありません。
どんちゃん騒ぎが良いか悪いかはいったん横に置くとして、そういったお客様は某キャバクラにも銀座にもいらっしゃいます。
ただ、銀座のクラブに訪れる男性は2~4名程度の団体の方が多いのに対し、某キャバクラには1名でご来店される、「おひとり様」が圧倒的に多かったと記憶しています。
銀座にだって、お仕事帰りにおひとりでご来店され、女性たちとのおしゃべりを楽しんで、気晴らしをし、お帰りになる男性はいらっしゃいます。いらっしゃいますが、1セット4,000円のキャバクラにおひとりでお見えになる男性は、明らかに「気晴らし」が目的ではありませんでした。彼らは、いわゆる"ガチ恋"系のお客様です。
ガチ恋とは、キャバクラのキャストなどに対し恋愛感情を抱いている状態のこと。
例えば、お財布に100万円が入っている方にとっての2万円は「気晴らし」に使えても、お財布に10万円しか入っていない方にとっては2万円をたかが「気晴らし」のためには使えないのかもしれない、と思いました。
1セット4,000円の某キャバクラには後者のような方が多く出入りしていた印象です。
ガチ恋おじさんのお試し行為
某キャバクラに勤めていたころに出会ったAさんは、毎回指名するキャストを変えるちょっと不思議な方でした。キャバクラはクラブと異なり、永久指名制ではないので、指名嬢をコロコロと変えることはルール上全く問題ありません。
Aさんは今日はあの子、明日はあの子、と指名するキャストを毎回変えても、元指名嬢たちが変わらずに彼を大切にしてくれるか試しているようでした。
「B子はC子と違っていつでも電話に出てくれる」「D子はスケベな写真を送ってくれる」と触れてまわって、女の子たちを焚きつけるようなこともしていました。
とはいえ、1セット4,000円となるとキャストのお給料も低く、割と気を抜いてお仕事をしている女性が大半です。焚きつけられて「こなくそ」となるキャストはひとりもおらず、ロッカールームは常に平和でした。
浮気を謝罪するガチ恋おじさん
私もAさんには何度か指名していただいたことがあります。「悔しい!」「いいなあ」と調子を合わせてくれる他の女の子たちに「悔しかったらもっと頑張れば?」と、Aさんは鼻を鳴らしました。
別のキャストを指名することを、彼は「浮気」と呼んで楽しんでいました。元指名嬢を席に呼んで「そんな顔しないで」「仲直りしよう」「本当にごめんね」と、謝罪するところまでが1セットです。こんなにキャバクラを楽しむ才能のある方って他にいないと思います(笑)。
このお店には1曲100円で楽しめる有料のカラオケがあり、Aさんはよく「仲直りに」と、GACKTさんの『ラブレター』を歌っていました。