ルネサス エレクトロニクスは、「RZ/G Linux プラットフォーム」をバージョンアップし、CIP SLTS(Super Long Term Support)Linuxカーネルに対応したことを発表した。これにより、ユーザは長期サポートを行う場合に年間数千万円単位でかかっていたメンテナンスコストを削減できるほか、ライフサイクルの長い機器へのLinuxの採用を期待できる。

「RZ/G Linuxプラットフォーム」がCIP SLTSカーネルに対応。組み込みLinuxの10年を超える長期サポートが可能に

同プラットフォームには、検証済みLinuxパッケージとしてCIP Linuxカーネル、BSP(Board Support Package)、マルチメディア機能(H.264コーデック、3Dグラフィックス)、GUIフレームワークなど、開発に必要なさまざまなソフトウェアコンポーネントが用意されている。

今回、CIP LinuxプラットフォームがCIP SLTSカーネルに対応したことで、10年以上のメンテナンスが可能となった。このLinuxパッケージは、すでにリファレンス環境で動作することが検証されており、ユーザは安定した動作環境からすぐに開発を開始することができる。また、セキュリティ機能も追加されており、将来のネットワーク仕様を含めてシステム拡張に対応する。BSPは現在、RZ/G1M用を提供中であり、今後、数か月の間に順次、ほかのRZ/G-PFシリーズにも提供する予定だという。

同プラットフォームは、ルネサスマーケットプレイスから提供される。ユーザはさらに、パートナ各社から提供されるセキュリティツールや組み込みビジョンライブラリなどのソフトウェアをダウンロード可能。併せて同社は、海外からもアクセス可能な英語版のマーケットプレイスを開設し、全世界への提供を開始した。

日本版と同様に、クラウド開発環境とルネサスマーケットプレイスは、「Microsoft Azure」を基盤とし、開発環境の整備とシステムの構築はソフトバンク・テクノロジーおよびサイバートラストと協業し、安心で信頼性の高いシステムを提供するとしている。

また、同プラットフォームではクラウド開発環境として、e2 studioと連携してクラウドサーバ上でプログラムを開発できる「ビルドツール」、動作の「検証ツール」、エラーの「解析メール」を提供している。今回、ハードウェア設計において、複数の機能が割り当てられた端子機能を正しく設定できているかをチェックするためのツールを追加した。

今回の発表に対して、Linux FoundationのChief Operations OfficerであるMike Woster氏は、「SLTS CIPカーネルにRZ/G Linuxプラットフォームが対応し、全世界に提供を開始することで、長期メンテナンスと高い信頼性を必要とする産業機器向けにLinuxの普及が進むことを確信している」とコメントしている。