米IC Insightsは9月27日(米国時間)、2017年のパワートランジスタ市場の規模が、前年比6%増の136億ドルとなる見通しで、過去最高を記録していた2011年の135億ドルを上回る可能性がでてきた、との予測を発表した。

パワートランジスタ市場の過去10年を振り返ると、決して順調な成長が続いてきた訳ではない。リーマンショックの影響などによる2009年の半導体産業の低迷から、2010年には前年比44%増という急回復を経て、2011年にはさらに同12%増の成長を達成したものの、2012年には同8%減、2013年には同6%減と30数年ぶりとなる2年連続でのマイナス成長を記録。2014年には同14%増と回復を見せたものの、2015年には前年の反動から同7%減という激しい動きを見せてきた。そのため、2016年には同5%増、2017年も同6%増と2年連続でプラス成長を達成する見通しだが、これは2011年以来6年ぶりとなる2年連続の成長となる。今後の動きについて、IC Insightsでは、安定化の動きを見せ、緩やかな成長を続けるものとの見方を示しており、金額としては2016年~2021年の5年間で年平均売上高(CAGR)4.2%で、2021年には158億ドルに達すると予測している。

2004年~2021年の世界パワートランジスタ市場の推移(2017年以降は予測) (単位:10億ドル) (出所:IC Insights)

パワートランジスタは、バッテリ駆動システムを含む、あらゆるタイプのエレクトロニクス機器の電力制御関連で重要な役割を果たしている。このため、230億ドル規模のディスクリート半導体市場における主要な成長エンジンとなっており、特に電力送電網のスマート化、いわゆるスマートグリッドをはじめ、民生用および産業用システムにおけるパワートランジスタの重要性を増加させているといえ、現在は再生可能エネルギーへの応用(例えば、風力および太陽光発電システム)ならびに電気自動車/ハイブリッド車も重要なアプリケーションへと成長しつつある。

なお、IC Insightsでは、2017年はすべてのパワートランジスタのカテゴリの売り上げが前年比でプラス成長すると予測。金額としては、MOSFET製品が同6%増の約77億ドル、IGBT製品が同6%増の41億ドル、バイポーラ接合トランジスタ製品は同4%増の約8億7500万ドル、RF/マイクロ波パワートランジスタとそのモジュールが同23%増の9億6000万ドルになるとそれぞれ予測している。