ヤマハは7月25日、同社が開発した音のユニバーサルデザイン化支援システム「おもてなしガイド」のアナウンス情報の受信機能を、同社製以外のさまざまなスマートフォンアプリにも追加することができる「おもてなしガイド受信SDK」の無償提供を開始した。スマートフォンアプリの開発・提供を行う事業者は、この受信SDKを使用することで、自社製のiOSアプリやAndroidアプリに対応アナウンスを受信し、その翻訳内容を表示する機能を組み込むことができるようになるという。

システム概要図

同社が開発したおもてなしガイドは、誰もがアナウンスの内容を理解できるようにするための「音のユニバーサルデザイン」化支援システム。流れてくる対応アナウンスをスマートフォンのマイクで受信し、その内容を多言語に翻訳された文字で確認することが可能な技術を中核としている。

これまで、国内の空港、エアライン、鉄道、バス、商業施設、観光施設、自治体などと連携し、音のユニバーサルデザインに対応したアナウンスの拡大に向けた実証実験を重ねてきた。また、さまざまな放送機材関連メーカーとの連携も進めることで、おもてなしガイド対応機器の共同開発にも注力している。

今回、2018年に予定しているおもてなしガイドの事業化に先立ち、この受信SDKの提供を開始することで、同社が提供しているおもてなしガイドアプリ以外のユーザーでも、音のユニバーサルデザインに対応したサービスが受けられる環境の構築を進めていく。

展開イメージ図

おもてなしガイド受信SDKは対応アナウンスを受信して、その翻訳内容をアプリユーザーに表示するための機能を提供し、スマートフォンアプリの提供・開発を行う事業者は、自社のアプリメニュー内に「おもてなしガイド対応」ボタンを設置し、説明テキストを表示するためのユーザーインタフェースを作成するだけで、対応アナウンスの翻訳情報を提供することができる音のユニバーサルデザイン機能を1週間程度でアプリに導入することを可能としている。

受信SDKには、さまざまな施設で流れる対応アナウンスの翻訳情報をはじめ、シアターやショーにおける音声の字幕表示、スポット情報、フリーWi-Fi設定方法など、日本語がわからない訪日外国人や音が聞こえづらい高齢者、聴覚障がい者に音のユニバーサルデザインを提供するために必要なデータと機能が搭載されている。

また、受信対象のアナウンスを指定できる機能を搭載しており、必要性の高い防災関連アナウンスと、通常の一般的なアナウンスのそれぞれを選択できるようになっている。そのほかの機能については、アプリに追加したい機能を必要に応じて自由に選択できる。

今後、おもてなしガイド受信SDKを活用するアプリ提供事業者とも積極的に連携を図ることで、訪日外国人や高齢者、聴覚障がい者の利便性の向上を目指し、音のユニバーサルデザイン化社会の実現を推進していく考えだ。