日本電気(以下NEC)とFiNCは28日、ヘルスケア領域で協業を開始したと発表した。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」とFiNCの法人向けウェルネスサービス「FiNC for Business」とAI技術の3つを組み合わせ、新たな企業向けウェルネス・ソリューションの共同開発を行うとしている。2018年の提供開始に向けて、2017年6月から6カ月間、NEC社内で実証実験を行う。

このソリューションは、企業内で従業員の健康状態を把握するもの。カメラやウェアラブル端末などのIoTデバイスにより、人の表情、声音、脈拍や体温などの生体情報を取得し、「FiNC for Business」のアプリに蓄積された食事や運動等のライフログデータと組み合わせて、AI技術で可視化・分析する。これにより、従業員がデータ入力を行うことなく、健康状態の日々の変化や健康リスクを捉えられ、健康に関する気づきやアドバイスをタイムリーに行える。

今回共同開発を行う背景として、昨今「健康経営優良法人(健康経営銘柄)」に代表される「健康経営」が注目され、企業は従業員の健康管理に積極的に取り組み始めていることがある。こうした健康投資は、従業員の活力・生産性の向上など組織を活性化し、業績や株価の向上につながると期待されている。

今回、両社はそれぞれの持つノウハウ・技術を用いて共創し、健康経営の実現に寄与するソリューションの開発や従業員の健康管理を進めていく。

両社が行う協業は主に3つ。

1つ目は、両社の持つ技術を組み合わせ、新しいウェルネス・ソリューションの開発を行う。また、AI・IoT技術を用いた人事・労務向けウェルネスデータ分析マネジメントツール「FiNC Insight」の高度化や、従業員の心身の健康状態及び健康リスクの早期発見につなげるサービスなど、新規サービスの共同研究を実施する。

2つ目は、NECとFiNC社内で特定保健指導対象者からモニターとして50~100名程度を選出し、両社共同で実証実験を6月から6カ月間行う。本人の同意を得た上で、「FiNC for Business」を使った食事改善等のアドバイスの提供や、BMI値等の数値の改善度を測定し、AI技術で導き出した改善度の予測モデルとの関係性を見つける。また、AI技術によって効果の期待できるモニターの選出を行う。

3つ目はウェルネス・ソリューションを「FiNC for Business」の導入企業や、NECの顧客企業を中心に、共同提案、セミナーの共催、各種プロモーションなど共同マーケティングを行う。また、今後両社は全国の医療機関と連携した退院後の治療・療養などのフォローや自治体と連携した地域医療連携へのウェルネス・ソリューションの展開を進めるとともに、両社のさまざまなノウハウやテクノロジー、データ等を組み合わせたヘルスケア分野における新たな価値を提案していく。

NECこの取り組みを通じて健康経営を一層加速させ、生産性向上に加え、「健康経営優良法人(健康経営銘柄)」として選出されることを目指すとしている。