国立感染症研究所は12月13日、11月28日~12月4日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中のインフルエンザと感染性胃腸炎の患者が前週に比べて約1.4倍に増えていることが明らかになった。
厚生労働省によると、インフルエンザウイルスに感染すると、38度以上の発熱や頭痛、関節痛などの症状が「比較的急速に」現れる。それとは別に、通常の風邪をひいた際に現れるのどの痛みやせきなどの症状を伴うこともある。小児や高齢者はそれぞれ、急性脳症と肺炎などを患い重症になるケースもあるとされている。
全国の定点医療機関から11月28日~12月4日(第48週)の期間中に報告があった全国のインフルエンザ患者数は1万2,334人で、第47週(8,843人)よりも約3,500人増加して1万人の大台を突破した。増加率は139.4%となっている。
第48週における医療機関あたり患者数は2.49人だが、この数値は2015年(0.17人)の14倍以上。2006年以降で同時期の医療機関あたり患者数みると、新型インフルエンザが世界的に流行した2009年(39.66人)に次いで2番目に高い数値を2016年は記録していることからも、例年に比べて患者が多い傾向にあることがうかがえる。
一般的にインフルエンザよりもやや先駆けて冬季に流行するノロウイルスが原因の感染性胃腸炎患者の数も例年に比べて多くなっている。感染性胃腸炎の症状には下痢やおう吐、腹痛などがあり、ウイルス感染後24~48時間で発症、おう吐や下痢などの症状が1~2日続いた後に快方に向かうパターンが多いという。アルコール消毒は有効ではなく、消毒には塩素系漂白剤を用いるとよい。
定点医療機関から報告があった第48週における感染性胃腸炎患者は、全国で5万4,876人で医療機関あたりの患者数は17.37人。第47週(総患者数4万607人、医療機関あたり患者数12.85人)よりも1万4,000人以上増加しており、増加率は135.1%となっている。
感染性胃腸炎の第48週時点での医療機関あたり患者数を2006年以降で比較すると、最多は2006年の21.86人。2016年の17.37人は2006年に次ぐ数字となっている。
インフルエンザの代表的な予防策にはワクチン接種があり、厚労省はワクチンの予防効果が期待できる期間を「接種した2週後から5か月程度まで」としている。例年、日本では1月~2月に流行のピークを迎えるため、12月中旬までのワクチン接種を推奨している。
ノロウイルス由来の感染性胃腸炎にはワクチンがないため、食品の十分な加熱や石けんを用いた手洗いなどで予防をする必要がある。
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