国立科学博物館などは12月1日、高知県いの町の山中から新種の鉱物を発見したと発表した。同鉱物は、地質標本館の館長を務めた豊遙秋(ぶんのみちあき)博士の業績を称えて「Bunnoite(豊石:ぶんのせき)」と命名された。

同成果は、国立科学博物館地学研究部 門馬綱一研究員、宮脇律郎部長、東京大学物性研究所 浜根大輔技術専門職員、愛媛大学ミュージアム 皆川鉄雄研究員らの研究グループによるもので、国際科学誌「Mineralogy and Petrology」に掲載された。

高知県いの町の山中は黒瀬川帯という地質で構成されており、かつて鉄やマンガン鉱石を採掘した鉱山跡やその鉱石が山中に点在している。

同研究グループは、その鉱石のなかに見慣れない暗緑色の鉱物があることに気づき調査を実施。同鉱物が、マンガン・アルミニウム・ケイ素・酸素・水素という普遍的な元素を主成分としながらも、これまでに知られていない鉱物であることを明らかにした。また、国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会へ新種の提案書を提出し、審査の結果、同鉱物が新種として承認された。

Bunnoite(豊石)の模式標本は、国立科学博物館に保管されているという。

Bunnoite(豊石)結晶の拡大写真。全体が豊石の結晶。化学組成はMn6AlSi6O18(OH)3