台湾に本拠を置く市場動向調査企業TrendForthのメモリ調査部門DRAMeXchangeは、PC DRAMの大口需要向け平均契約価格が9月の1カ月間で7.4%ほど値上がりし、4GビットDDR3やDDR4のスポット価格は前月比でそれぞれ19%、15%の値上がりを記録したと10月3日(台湾時間)に報じた。
第4四半期には、契約価格は前期比30%の値上がりとなり、2年来の最高価格を記録する見込みであるとするほか、スポット価格はそれ以上に値上がりするだろうと、同社調査ディレクター、Avril Wu氏はみている。
第3四半期に、DRAM業界は、モバイルDRAMの量産に注力したため、生産量全体の4割以上を占めたが、その一方でPC DRAMのシェアは2割を切ることとなった。その結果、ノートブックパソコンやスマートフォン業者はDRAMの在庫確保に追われることとなり、従来の4GBに代わって8GB DRAMを搭載した新しいノートパソコン(特に業務用モデル)の出荷が、年末のピークセールスシーズンにむけて急増しているとする。
「第3半期に、PCメーカーは、製造に必要な数量のPC DRAMを何とか確保しようとして、DRAM価格の値上がりを受け入れた。第4半期には、さらに値上がりするのは必至である。なぜこんな供給不足が生じたかというと、それはDRAMメーカーがPC需要を過小評価してしまい、サーバやモバイル用DRAMに生産の重点を移しまったためである」とWu氏は分析している。
それに輪をかけているのが、DRAM製造に関する問題だ。いくつかのDRAMメーカーの20nmおよび21nmプロセスの歩留まり(良品率)が期待値まで向上できておらず、予定の出荷量が確保できていないという。そんな中で、PCメーカーは必至でDRAM在庫確保に動いている。
PC向けDRAMの価格高騰は、他のメモリ製品の価格高騰を引き起こしている。サーバDRAMの平均契約価格も、第3四半期の初め以来、10%上昇している。
なお、NAND型フラッシュメモリ市場はどうかというと、「NANDメモリ市場でも供給不足問題が生じており、第4四半期のeMCPの平均販売価格は、前期と比べ10~15%増加している」とWu氏は見解を述べている。