半導体市場調査企業である米IC Insightsは、同社発行の「McClean Report」の9月更新版にて、2016年の半導体産業のM&A(合併や買収)額が9月20日(米国時間)時点で、すでに550億ドル(5兆5000億円)を超えており、2015年に次いで史上2番目にM&A額が大きい年となることが確定したと報じた。さらに大きなM&Aが年内に合意されれば史上最高額の年になる可能性もある。

以下の図に、半導体業界のM&A合意金額総計(単位:10億ドル)の2010年から2016年にかけての推移を示す(2016年は9月20日までの期間)。

世界半導体業界のM&A合意金額総計(単位:10億ドル)の2010~2016年の推移(2016年は9月20日までの期間)。2015年は、第1~3四半期だけで791億8000万ドルを記録した

2015年は、第1~3四半期(1~9月)で791億8000万ドルに達したが、2016年は同時期で553億ドルとやや低いものの、最終的には前年に次いで2位になることは確実となった。2016年前半は、ほとんどメディアで大きく扱われないような、小ぶりのM&A(成長が鈍化したコンシューマエレクトロニクスやスマートフォン関連半導体部門の売却、IoTに向けた製品ポートフォリオ充実といった特定製品群の買収など)が相次いだが、その総額は6カ月で43億ドル程度と、前年同期の726億ドルに比べれば1/10にも満たないほど少なかった。しかし、第3四半期に入ってソフトバンクによるARMの買収、Analog DevicesのLinear Technologyの買収、そしてこれらの大型買収案件に比べれば小ぶりだが、ルネサス エレクトロニクスのIntersil買収(米国当局の承認はまだ得られていない段階)と立て続けに買収が生じ、M&A総額もあっという間に500億ドルを超えるところにまで来た。

なお、中国勢(国営投資集団やSMIC)による欧州での半導体企業(あるいはその一部門)買収は次々と成功しているが、米国企業の大型買収にはことごとく失敗しており、今後どのように米国半導体企業買収の奇策を講ずるか、あるいはどのようにして最新半導体技術を入手するかその動きが注目される。