4人に1人が65歳以上という日本の現状を、外国人はどうとらえているのか

日本は世界でも有数の長寿社会だ。平成27年国勢調査によると、総人口に占める日本の高齢者(65歳以上)は過去最高となる26・7%に達した。医療技術の進歩で若くして死ぬことが減ってきた一方で、高齢者が増えることは社会保障費の増加を意味する。また、近年では平均寿命と健康寿命(健康上の問題がなく、自立して日常生活を送れる期間)の乖離(かいり)も問題視されている。

このようにさまざまな問題を内包する超高齢社会の日本は、海外からはどのように見えるのだろうか。 日本在住の外国人20人に、高齢者が増え続けている日本をどのように思うのかを聞いてみたので、気になった回答を紹介しよう。

Q. 4人に1人が65歳以上という日本社会についてどう思いますか。母国と比較してお答えください

■しっかりと考えないといけない問題だ
・「高齢化率のわりには、十分な対策がとられているとは思いません。ただ、母国では平均寿命はかなり短いので、それを伸ばすことのほうが大きな課題です」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「若い人が大変だと思います。中国は一人っ子政策が原因で、もっと大変だと思います。特に最近生まれた子供たちは、現在の祖父母たちと親たちに甘やかされていますが、将来は子供1人でその大人4人を負担しなければならないと考えると怖いです」(中国/30代前半/男性)
・「モンゴルと正反対です。モンゴルの総人口の65%が35歳未満の若者です。日本はこれから外国の労働力に頼るしかないと思います」(モンゴル/30代前半/男性)
・「少子化が大問題だと思うのに、なぜ職場で妊娠を報告する女性が緊張感と恥ずかしさであふれなきゃいけないのかしら。家族よりも仕事を大事にしている日本のこの点を、大変大きな問題に感じています」(ハンガリー/30代前半/女性)
・「心配される。アクティブな社会にならない。母国は30代の若者が最も多い」(パラグアイ/30代前半/女性)
・「今でも高齢者の問題があるし、近い将来にもっと深刻になると思う。母国にはこういう問題がまだない」(ロシア/20代中盤/女性)
・「若者は大変だと思います。香港も少子化は深刻な問題になっています」(香港/20代後半/女性)
・「高齢化が進みすぎていると思います。高齢者は母国にはそんなにいません。若者が多いです」(インド/40代前半/男性)
・「やはり高齢化の社会になっていますね。わが国は若者がまだ多く、どこに行っても必ず妊婦さんと出会うことができます」(フィリピン/40代前半/女性)

■対策を練らないといけない
・「日本社会はとても大変な状態になってきました。解決策として、子供の数を増やすということも大事ですが、今働いている人を応援することも大切だと思います。パワハラセクハラアルハラなどでフルタイムで働いている人の数がどんどん少なくなっていて、さらにそういう人間関係トラブルのせいで自殺している人の数が非常に多いです。そういう人たちを助けるシステムを作らないと、いっぱい子供を産んだとしても大人になって同じ問題社会の中で働いて、結局うつ病になったり、自殺したりします。また、シニアたちも社会の役に立てるような仕組みを作るべきだと思います。ルーマニアも深刻な状態です。不景気のせいで、子共の数がどんどん減っています。その上、ほとんどの若者は他の国に働きに行っています。ルーマニアに住んでいる人の数は3分の1ぐらい減っていて、その中のシニアの数はとても多いです。専門家によると、2050年に2人に1人が65歳以上という状態になるおそれがあるそうです」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「年金のシステムが心配です。新しい発想ができる若者を早く大手企業の幹部まで昇進させないといけないと思います。フランスも同じです」(フランス/30代前半/男性)
・「やばいですね。断固として外国人を受け入れていないので、純粋な日本人だけでいつまで人口を維持できるのか疑問です。国際結婚をしてハーフをもっと増やさないと、国としての将来がないと感じます」(タイ/30代前半/男性)
・「高齢者がまた活躍できるような舞台を用意し、開発していかなければ、数十年後の日本の若者への社会保障負担が心配になる。韓国も高齢社会に突入しているので、日本を見て学び、もっと早い段階から実質的な対策を社会全体が協議していく必要性があると思う」(韓国/20代前半/男性)

■母国は日本を見習ってほしい
・「感動しています。やはり、日本では健康意識が高いなと思います。母国では平均寿命が60歳くらいなので、うらやましいです」(インドネシア/40代前半/女性)
・「イタリアの人口は日本よりずっと少ないですが、高齢化しているのは同じです。先進国には必ず訪れる現象のように思います。イタリアでも日本でも、老人が一人暮らしをして家族と距離が離れることは寂しいと思いますが、老人向けのアクティヴィティーや介護士が増えるのという点は、イタリアももっと見習ってほしいです」(イタリア/30代前半/男性)

■その他
・「台湾でもだんだん日本のような高齢化社会に近づいている。日本の経験に基づいて、政府も民間施設も台湾により適切な対策を提供してほしい」(台湾/20代後半/女性)
・「そんなに悪くないと思います。自国とあまり変わりません」(ブラジル/20代後半/男性)
・「調べたら、アメリカは15%が65歳以上ということでした。私の実家がある地域は20%でアメリカの中では多い方です」(アメリカ/30代前半/女性)

■総評
アンケートの結果、およそ半数の回答者が日本の超高齢社会を憂慮していることがわかった。「母国では平均寿命が60歳くらいなので、うらやましいです」」という回答も見られたが、やはり多くの外国人も日本人同様、いびつな日本の人口ピラミッドを危惧しているようだ。

日本の他では、イタリアやドイツなども「長寿大国」となっており、高齢化は先進国の避けて通れない問題と言える。そして、私たちが年を取っていくことも避けて通れない運命である。それだけに、自国の現状と照らし合わせながら、我が事のように日本が現在向き合っているこの問題への解決策を提言している回答者も少なからず見られた。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート